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ルシファーの暴言に、天使アブデル立ち上がる!

アブデルはルシファーの反逆に激しく抗議。神聖な言葉を汚す彼に憤りを示し、御独り子への権力を軽視する行為に反対。しかし、他の天使はアブデルに同調せず、非難は奇矯と見なされます。ほくそ笑む背教者、ルシファー。

ルシファーの暴言に、天使アブデル立ち上がる!

アブデルは全能の主に対する熱意に燃えて、ルシファーの大胆不敵な言葉に断固として反対しました。

「なんという神聖なものをけがす言葉、なんという虚偽と倣慢にみちた言葉であろうか! このような言葉を聞くとは、天上の誰が想像しえたであろうか! ああ、忘恩の徒ルシファーよ、天使間の中でかくも高い地位にある汝の口から、このような反逆の言葉を聞こうとは!

神は、その権利を当然もっておられる御独り子に王権を与えたもうた。そして、その御独り子に向かって天におけるすべての者が跪いて敬意を表し、正しき王として崇めることを命じたもうのである。

にもかかわらず、この正しい命令を、汝は不敬、不遜にもあえて非難しようというのか?

不正だ、と汝は言う。自由な者を律法で束縛し、同等の天使を他の多くの天使を支配させ、御独り子に永遠の権力を与えると。

また、他のすべての者を支配させるとは、不正きわまる、と汝は言う! 汝は神に対して反抗しようというのか?」

天使アブデル、さらにルシファーを非難する!

「汝も含め、天上のすべての天使を造り、その本質に一定の役割を定めたもうた全能の主。その神と自由の問題について、汝はあえて論争しようというのか?

我々は、全能の主がいかに善なる方であるかわかっているはず。我々の善について、高き地位について考えられ、御独り子の下にいっそう緊密に団結させることによって、我々の幸福を減ずるどころか、かえって増進させようと考えておられるということを、我々は教えられ、知っているのだ。

しかし、もし、汝の言う通り、同じ位の天使が同じ位の他の天使すべてに君臨するのは不正だと認めるとしても、いかに栄光に輝く汝自身が、いや、全天使を一つにした天使だとしても、神の御独り子であるあの方と同等だなどと自惚れることが果してできるのか?」

ルシファーよ、不敬な怒りを鎮めよ!

「全能の主は、その御言葉により、すべてを、そうだ、実に汝さえも造り給うたのだ。また、天上にあるすべての天使を造って輝かしい役割を与え、その栄光を明らかに表すために、座天使、主天使、権天使、力天使、能天使などと名づけられたのではなかったのか?

御独り子の元に、光輝を失うどころか、さらに輝かしさを増すため、これこそ我ら天使の役割と言わなければならない。王として御独り子がその地位を気にかけず、我々の一員となられれば、御独り子の律法はわれわれの律法となり、御独り子の当然受けたもうすべての栄誉は我々自身の栄誉となるのだ。

だから、汝ルシファーよ、不敬な怒りを鎮め、他の者を誘惑するのをやめよ。すぐに行って、怒っておられるであろう全能の主と御独り子の慈悲にすがるのだ。時機を失しない限り、お赦しを得ることもできよう」

信仰に燃えていた天使アブデルは、ルシファーを非難しました。

しかし、アブデルの熱意に応ずる天使は一人もいません。アブデルの非難はこの時と場所にはふさわしくない、あるいは、奇矯かつ唐突な発言と受けとられたからです。

ほくそ笑んだのは、背教の天使ルシファーです。