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天使間アルマゲドン(失楽園)

大天使ミカエル、ルシファーに叫ぶ!

大天使ミカエルは、闘志満々、怒りの顔をあらわにして、ルシファーに叫びました。

「おお、悪の元兇よ、悪の創始者よ!〈悪〉というものは、汝が叛逆するまでは、この天上には名さえなかったのだ!

今や〈悪〉がはびこり、この憎むべき闘いとなっている。この闘いが、道理にかなっていてもいなくても、汝と汝の配下には呪いとなって重くのしかかっている。

もちろん、我々すべての者にとっても憎むべきものとなっている。天の祝福に満ちた平安を乱し、今まで生まれてもいなかった〈悲惨〉を、この世界にもたらしたのは、まさに汝ではなかったか!

かつては正しく忠実であった多くの天使に叛意を注ぎ込み、今のような背信のやからにしてしまったのは、まさに汝ではなかったか!

神の聖なる平安を乱そうなどと自惚れるのは止めるがよい。天国はその全領域から汝を排除しようとしている。祝福の座である天国は、暴カと戦いを容認できないのだ。

だから、汝はここを立ち去るがよい、汝の子〈悪〉も一緒に連れてゆき、〈悪〉本来の住処へ、地獄へ行くがよい。そうだ、汝も汝の悪しき徒党も全部だ! 秩序を乱すなら、地獄で起こすがよい!

そうだ、この私の懲罰の剣が断罪の裁きを下す前に、いや、なんらかの復讐の手が突如として神から放たれ、さらに激しい苦痛を与えて汝を真っ逆さまに墜す前にだ」

堕天使ルシファー、答える

「行動に訴えても脅せない相手を、言葉だけで怖れさせようとしても、無益というものだ。

いったい、お前は、わたしの部下の中の小さき者でさえ敗走させたことが一度でもあったのか? たとえ打ち倒したとしても、その者はたちまち恐れることなく立ち上がったはずだ。

しかるに、この私をさらに扱いやすい相手だと、威し文句を並べてここから追い払おうするとは、笑止千万な話だ。そんなことで、この闘いの決着がつけられると思ったら大間違いだ。

この闘いをお前は〈悪〉だというが、我々は〈栄光〉の闘いと呼んでいる。もちろん、勝算はある。いや、この天国をお前の言う地獄とやらに変えてやろう。

たとえ支配権を得ることができぬとて、ここで自由に住むつもりだ。それまではお前も全力を尽くすがよい。

また、全能者と称する者の援助を求めるのもよかろう。どちらにせよ、わたしは逃げはしない、逃げるどころか、今までずっとお前を探していたのだ」

ミカエルとルシファー、剣を構える!

(ウリエルは天使間アルマゲドンを回想して、地球のエデンにてアダムに語っているのです)

「ミカエルとルシファーの戦いを言葉で語るのは難しい。この地球上で見られるいかなるものに例えたら、このような神の如き極限に近い戦いを、アダム、あなたが想像できるかよくわからない」

両者は神々しく、その武器といい、大いなる天国の主権争いをする者にふさわしかったのです。動くにしろ、留まるにしろ実に威風堂々としています。今や焔をあげて燃える二つの剣が大きく打ち振われ、虚空に凄惨な円弧を描きだそうとしています。

楯はまるで二つの巨大な太陽のように互に向き合い、燦然と輝いています。不安は震えおののき、周りを包んでいます。両陣営の天使の軍勢は、今まで激しく戦っていましたが、急ぎ二手に別れて退却しはじめました。

ルシファーとミカエルのまわりは、広い空間だけになりました。

今まさに起らんとする両者の激突は、最も危険なこと。この激突たるや、自然の調和が破れ、星座群の間に戦いが生じるようなもの。二つの遊星が飛び出し、中空において激突し、天球層を粉砕するさまもかくあろうか、と思われるほど。

全能の神にはかなわないまでも、それに次ぐ強力なその力を両者は高く揚げ、今にもふりおろさんばかりの態勢をとりつつ、虎視耽々と相手を狙っています。

ただの一撃で、両者は一挙にことを決するつもりです。もちろん、その後の余カもなかったことでしょう。その攻撃力においても、攻撃を避けるにしても、どちらの能力も同じだからです。