ヤコブ 天使と戦う
ギュスターブ・ドレ〈ヤコブと天使の戦い〉
さて、ヤコブが旅路に進んだとき、神の使たちが彼に会った。ヤコブは彼らを見て、「これは神の陣営です」と言って、その所の名をマハナイムと名づけた。
ヤコブはセイルの地、エドムの野に住む兄エサウのもとに、さきだって使者をつかわした。すなわちそれに命じて言った、「あなたがたはわたしの主人エサウにこう言いなさい、『あなたのしもべヤコブはこう言いました。わたしはラバンのもとに寄留して今までとどまりました。わたしは牛、ろば、羊、男女の奴隷を持っています。それでわが主に申し上げて、あなたの前に恵みを得ようと人をつかわしたのです』」
使者はヤコブのもとに帰って言った、「わたしたちはあなたの兄エサウのもとへ行きました。彼もまたあなたを迎えようと四百人を率いてきます」。そこでヤコブは大いに恐れ、苦しみ、共にいる民および羊、牛、らくだを二つの組に分けて、言った、「たとい、エサウがきて、一つの組を撃っても、残りの組はのがれるであろう」
彼はその夜そこに宿り、持ち物のうちから兄エサウへの贈り物を選んだ。すなわち雌やぎ二百、雄やぎ二十、雌羊二百、雄羊二十、 乳らくだ三十とその子、雌牛四十、雄牛十、雌ろば二十、雄ろば十。彼はこれらをそれぞれの群れに分けて、しもべたちの手にわたし、しもべたちに言った、「あなたがたはわたしの先に進みなさい、そして群れと群れとの間には隔たりをおきなさい
ドラクロワ〈ヤコブと天使の戦い〉
彼はその夜起きて、ふたりの妻とふたりのつかえめと十一人の子どもとを連れてヤボクの渡しをわたった。すなわち彼らを導いて川を渡らせ、また彼の持ち物を渡らせた。
ヤコブはひとりあとに残ったが、ひとりの人が、夜明けまで彼と組打ちした。 ところでその人はヤコブに勝てないのを見て、ヤコブのもものつがいにさわったので、ヤコブのもものつがいが、その人と組打ちするあいだにはずれた。その人は言った、「夜が明けるからわたしを去らせてください」
ヤコブは答えた、「わたしを祝福してくださらないなら、あなたを去らせません」。 その人は彼に言った、「あなたの名はなんと言いますか」。彼は答えた、「ヤコブです」。その人は言った、「あなたはもはや名をヤコブと言わず、イスラエルと言いなさい。あなたが神と人とに、力を争って勝ったからです」
ヤコブは尋ねて言った、「どうかわたしにあなたの名を知らせてください」。するとその人は、「なぜあなたはわたしの名をきくのですか」と言ったが、その所で彼を祝福した。そこでヤコブはその所の名をペニエルと名づけて言った、「わたしは顔と顔をあわせて神を見たが、なお生きている」
こうして彼がペニエルを過ぎる時、日は彼の上にのぼったが、彼はそのもものゆえにびっこを引いていた。そのため、イスラエルの子らは今日まで、もものつがいの上にある腰の筋を食べない。かの人がヤコブのもものつがい、すなわち腰の筋にさわったからである。
「イスラエル」の意味
ヘブル語イスラエル(「イスラーエール」יִשְׂרָאֵל)の「エール」(אֵל)は「神」を意味しますが、その前にある「イスラー」は「君、指導者」を意味する「サル」(שַׂר)の動詞「サーラル」(שָׂרַר)の未完了形に由来するのではないかと考えられます。
したがって「サーラル」(שָׂרַר)は「支配する」という意味ですから、「イスラエル」とは「神が支配したもう」という意味になります。出典
- 光あれ
- アダムの創造
- エバの創造
- 原罪:へびの誘惑
- エデンの園追放
- カインとアベル
- アダムの系譜とノア
- ノアの箱舟と?
- 大洪水
- ノアの箱舟とハト
- ノアの燔祭(はんさい)
- ノアの泥酔
- バベルの塔
- アブラム、カナン、エジプトへ
- アブラムとロト
- サライとハガルとイシマエル
- 名はアブラハムに。契約と割礼
- 主と三人の使い
- ロトへの訪問
- ソドムとゴモラ
- ロトと近親相姦
- サラは、わたしの妹
- ハガルの追放
- ベエルシバ荒野のハガル
- イサクの犠牲
- サラの死と埋葬
- イサクの妻リベカ
- アブラハムの死
- ヤコブとエサウ
- イサクの妻リベカ2
- イサクの井戸
- イサクとアビメレク
- ヤコブの祝福
- ヤコブのはしご
- ヤコブ、レアとラケルに出会う
- ヤコブ 天使と戦う
- エサウとの再会
- シメオンによる虐殺
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