ラファエルは、ガブリエル、ミカエルとともにキリスト教における三大天使の一人で、熾天使(セラフィム)あるいは力天使(ヴァーチュズ)です。
(トビト記)
トビトはニネベに住む視力を失った老人です。妻のアンナがもらった贈り物を盗んだものと疑ったことを反省し、死を願っていました。また、近くにラグエルの娘サラも住んでいました。彼女は悪魔アスモデオスのせいで、夫たちが7回も次々に初夜に死んでしまいました。
トビト家の女奴隷の一人が非難しました。
「あなたが7人の夫たちを殺しているのです。あなたの夫たちが死んだからといって、どうしてわたしたちを鞭打つのですか」
サラはこのことを悩んで、死を願っていました。
トビトはラゲスにいるガバエルにお金を預けていました。ある日、彼はそれを返してもらうため、息子トビアスをラゲスにつかわしました。トビアスは、雇った案内人と旅に出ました。実は、この案内人はトビトとサラの二人の願いを聞いて、神が差し向けた大天使ラファエルだったのです。
旅の途中で、トビアスはティグリス河で大きな魚を釣り上げました。ラファエルは、その魚の胆汁を父の眼病の薬に、心臓と肝臓はサラの悪魔払いに使うよう示唆しました。
やがて、その薬はトビトの目を回復させ、心臓と肝臓はサラに付いていた悪魔を追い払いました。サラの父親ラグエルはたいそうトビアスを気に入り、トビアスとサラは結婚することになりました。
結婚の後、ラファエルは彼らに告げました。
「わたしは、主の栄光のみ前で仕えている七人の天使の一人、ラファエルです。恐れることはありません。あなたがたに平安があるように。永遠に神をほめたたえなさい。わたしがあなたがたと一緒にいたのは、わたしの意志によるのではなく、神のみ心によるのです。常に神をほめたたえ、神に讃美をささげなさい」
こう言いおえると、ラファエルは天に昇っていきました。