大天使ラファエル、トビアスの案内人となる。
『トビト記』にのみ、その名前が出てくる大天使です。ラファエルという名前はヘブライ語で「神は癒される」という意味で、ユダヤ教の伝統では「癒し」をつかさどる天使です。
ミルトンの『失楽園』では、次のトビト記の後、創造主に命じられたラファエルはエデンの園にやってきます。サタンの天界での反乱・堕天、なぜ人類を貶めようとしているのか、アダムに注意をうながします。
※「トビト記」は、ユダヤ教では外典、カトリック教会と正教会では旧約聖書続編(または第二正典)として扱います。
ジョヴァンニ・サヴォルド〈天使ラファエルとトビアス〉ボルゲーゼ美術館
ラファエルは、ガブリエル、ミカエルとともにキリスト教における三大天使の一人で、熾天使(セラフィム)あるいは力天使(ヴァーチュズ)です。
(トビト記)
トビトはニネベに住む視力を失った老人です。妻のアンナがもらった贈り物を盗んだものと疑ったことを反省し、死を願っていました。また、近くにラグエルの娘サラも住んでいました。彼女は悪魔アスモデオスのせいで、夫たちが7回も次々に初夜に死んでしまいました。
トビト家の女奴隷の一人が非難しました。
「あなたが7人の夫たちを殺しているのです。あなたの夫たちが死んだからといって、どうしてわたしたちを鞭打つのですか」
サラはこのことを悩んで、死を願っていました。
ゴヤ〈トビアスと大天使ラファエル〉
トビトはラゲスにいるガバエルにお金を預けていました。ある日、彼はそれを返してもらうため、息子トビアスをラゲスにつかわしました。トビアスは、雇った案内人と旅に出ました。実は、この案内人はトビトとサラの二人の願いを聞いて、神が差し向けた大天使ラファエルだったのです。
旅の途中で、トビアスはティグリス河で大きな魚を釣り上げました。ラファエルは、その魚の胆汁を父の眼病の薬に、心臓と肝臓はサラの悪魔払いに使うよう示唆しました。
やがて、その薬はトビトの目を回復させ、心臓と肝臓はサラに付いていた悪魔を追い払いました。サラの父親ラグエルはたいそうトビアスを気に入り、トビアスとサラは結婚することになりました。
結婚の後、ラファエルは彼らに告げました。
「わたしは、主の栄光のみ前で仕えている七人の天使の一人、ラファエルです。恐れることはありません。あなたがたに平安があるように。永遠に神をほめたたえなさい。わたしがあなたがたと一緒にいたのは、わたしの意志によるのではなく、神のみ心によるのです。常に神をほめたたえ、神に讃美をささげなさい」
こう言いおえると、ラファエルは天に昇っていきました。
ピーテル・ラストマン〈トビトとトビアスに別れを告げる天使ラファエル〉
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