〈四方の風を押さえる御使いたちと144,000人への押印〉
【ヨハネの黙示録 第7章】
大異変の只中、ヨハネの目に映ったのは、地の四隅に立つ四人の御使たち。彼らは、地と海と木に吹きつける風を押しとどめていました。まさに、破滅の前触れ。けれど、そのとき——東からもうひとりの御使が現れたのです。
その御使は、「生ける神の印」を手にして、四人に向かって叫びます。
「神の僕たちの額に印を押し終えるまで、地も海も木も傷つけてはならない!」
こうして、イスラエル十二部族から十四万四千人が印を受けることになりました。部族ごとに一万二千人ずつ、名をあげて宣言されていきます。ユダ、ルベン、ガド、アセル……最後はベニヤミン。これは、神に選ばれし「印をおされた者」なのです。
そして次にヨハネが見たのは、圧倒的な光景でした。
あらゆる国、民族、言語から集まった、数えきれぬほどの白い衣の群衆。彼らはしゅろの枝を手に、小羊と神の御座の前に立ち、大声で叫びます。
「救いは、御座におられるわれらの神と、小羊から来る!」
その光景を囲むように、御使たちや長老たち、四つの生き物が御座の前にひれ伏し、神を讃えます。
「アァメン。賛美、栄光、知恵、感謝、誉れ、力、勢いが、世々限りなく、われらの神にあるように!」
やがて、長老のひとりがヨハネに語りかけます。
「白い衣の者たちは、誰か。どこから来たのか、分かるか?」
ヨハネが「あなたこそご存じです」と答えると、長老は教えてくれました。
「彼らは、大きな患難をくぐり抜けてきた者たち。小羊の血でその衣を白くしたのだ。」
ゆえに彼らは、昼も夜も神の御前に仕え、神は彼らと共に住まわれる。そして、こう続けます。
「彼らはもはや飢えることなく、渇くこともない。太陽も灼熱も、彼らを打つことはない。小羊は牧者となり、命の水の泉へと彼らを導く。
そして神は、その目から涙をことごとくぬぐい取ってくださる。」
終末の只中に見える、神の守りと癒しの約束。それは、痛みを超えて進んだ者たちに与えられる、涙なき世界への扉なのです。
デューラー〈子羊の崇敬〉
【印をおされた者】
その印象の持ち主、つまり神の所有物になることを意味。
【十四万四千人】
12の2乗を1,000倍した数、「無数」を意味しています。
【しゅろ(ナツメヤシ)の枝】
勝利と街宣、あるいは勝利と喜びの徴です。