
11月4日は、カトリック教会で「聖カロロ・ボロメオ司教」を記念する日です。
イタリアの貴族から司教となり、教会や信徒の混乱を正そうと尽くした彼。その姿には「特別な奇跡」ではなく、日常の忠実な務めを通してキリストの道を歩む力強さがあります。
今日は、聖カロロの生涯を通して、私たちの信仰と生き方にどんな光が当たるのかを一緒に見ていきましょう。
Contents
聖カロロ・ボロメオ|プロフィール
- 名前
聖カロロ・ボロメオ/St. Charles Borromeo - 生没年
1538年〜1584年 - 出身地・時代背景
イタリア、ロンバルディア地方アローナの貴族の家に生まれ。16世紀、宗教改革の嵐がヨーロッパを揺らしていた時代。 - 肩書き・役職
司教・枢機卿・ミラノ大司教。さらに教会改革の推進者として知られます。
聖カロロ・ボロメオの生涯
青年期からの転機
カロロは1538年にロンバルディア地方アローナの貴族の家に生まれました。父はボロメオ家、母はメディチ家と近縁にあったと言われます。
法学を学ぶためにパヴィア大学に進み、そこで法学(教会法・世俗法)を修めました。1560年、22歳という若さで伯父である教皇ピオ4世によって枢機卿に任じられ、ローマに招かれます。
その後、ミラノ大司教に選ばれ、彼はその高い地位を、貴族的特権としてではなく、むしろ改革と奉仕のために用いました。
信仰と活動の展開
当時、教会や修道院には風紀の乱れや司祭の教育の不足など、さまざまな問題がありました。カロロはまず司祭たちの教育を改善することに力を入れ、教義の統一・ミサ典書・要理の編纂にも貢献しました。
例えば、彼が参与した第3次 トリエント公会議(1545-63年)では、教会改革のための重要な議論がなされ、彼はその中で司教としての責任を全うしました。
また、1560年代後半、ミラノでペスト(黒死病)が流行した際には、司教館に留まらず、率先して病人の看護に当たりました。伝えられるところによれば、「我々にはみな弱さがあります。
ですが主は、もし望むならば私たちを容易に強める手段を与えてくださっています」という言葉を残しています。
このような活動を通じて、カロロは「特別な能力をもっていたから」ではなく、自分自身に与えられた義務を誠実に果たすことでキリストの道に従ったのです。
晩年の病や評価
1584年11月3日の夕刻、ミラノ近郊から帰る途中で高熱を発し、同年11月4日に死去しました。46歳という若さでした。死後すぐに、その聖性と改革への貢献が認められ、1610年には列聖されました。
彼の死後、ミラノやイタリア内外でその名が語り継がれ、司祭の教育や信徒の組織化において大きな模範とされ続けています。
聖カロロ・ボロメオの名言・エピソードから学ぶ
「Be sure that you first preach by the way you live.」
「まず、自分の生き方によって説きなさい」という言葉があります。
この言葉の背景には、カロロが論理だけでなく、日々の行動によって教えを裏付けようとした姿勢があります。
例えば、ペストの流行時に、司教としての立場にあっても自ら病人の看護に赴いたというエピソードが、それを体現しています。
この言葉と行動から、現代に生きる私たちも「言葉だけではなく、生き方で信じる者である」ことの大切さを学べます。
カトリック的ポイント解説
神学的に大事にしたテーマ
カロロが特に重視したのは「司祭の教育」と「貧しい人と病人への奉仕」です。
教育された司祭によって、信徒が健全な信仰に導かれるようにと願い、また、貧者への愛の実践を通じて「神のあわれみ」を体現しました。
現代の信仰生活にどう生きているか
現代でも、信仰生活において「まず自分の態度を振り返る」「学びを深めて、行動で示す」というカロロの姿は有効です。
例えば、教会が地域に根ざした働きをしているか、信徒一人ひとりが自分の信仰と生活のつながりを意識しているか、という問いを投げかけてくれます。
聖カロロ・ボロメオ|ゆかりの地・書籍・芸術
- ゆかりの地
出身地アローナ(ロンバルディア州)には、彼を記念する大きな銅像「サンカルローネ」があります。
また、ミラノ大司教区の中心であった彼の司教館もゆかりの地です。 - 書籍・伝記
彼の伝記や、教育改革・教会改革を扱った研究書が多数あります。例えば『Carlo Borromeo. Un uomo, una vita, un secolo』(Federico A. Rossi di Marignano著)など。 - 芸術作品
彼の生涯を描いた絵画や記念建築が数多く存在します。たとえばミラノにある「サン・カルロ教会(San Carlo al Corso)」などがその一例です。
まとめ|今日の聖人から学べること
聖カロロ・ボロメオ司教は、華やかな貴族の出身でありながら、教会改革と奉仕のためにその地位を用いました。
教育を通じて司祭を養い、貧しい人や病を患った人に自ら手を差し伸べ、日常の務めを誠実に果たしました。「まず生き方で説きなさい」という言葉が、まさに彼自身の姿勢を表しています。
今日、私たちも彼のように、自分に与えられた日々の役割を丁寧に果たし、小さな行いを通じて信仰を実現していくことができます。言葉と行動が一致する生き方を、心に留めたいですね。
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