2月11日は、カトリック教会で「ルルドの聖母マリア」を記念する日です。
けれども、ルルドの聖母マリアは人間の聖人ではありません。
では、いったい何を記念しているのでしょうか。
この記事では、「ルルドの聖母マリアとは何か」から始めて、その意味を順にたどっていきます。
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ルルドの聖母マリアとは、1858年にフランス南部ルルドで起きた「聖母の出現」を指す呼び名です。
カトリック教会では、イエスの母マリアが歴史の中で特別なかたちで現れる出来事を「聖母出現」と呼びます。
ルルドは、その中でも世界的に知られる出来事の一つです。
つまり、記念しているのは「ある女性の人生」ではなく、「神の母マリアが人々に語りかけた出来事」なのです。
1858年2月11日、14歳の少女ベルナデッタ・スビルーは、薪を拾いに洞くつへ出かけました。
そこで彼女は、白い衣をまとい、ロザリオを手にした美しい女性を見ます。
この女性は、のちに自らを「無原罪の御宿り」と名乗りました。
当時まだ教理を十分に学んでいなかったベルナデッタがその言葉を語ったことは、大きな注目を集めます。
出現は合計18回に及びました。
人々は最初こそ疑いましたが、やがて洞くつに集まり、祈りを共にするようになります。
出現の中で、聖母はベルナデッタに地面を掘るように命じました。
そこから水が湧き出します。
この水によって病がいやされたという証言が相次ぎ、ルルドは「いやしの地」として知られるようになりました。
カトリック教会は奇跡の認定にきわめて慎重です。
医学的・神学的な調査を経て、ごく限られた事例のみが公式に奇跡として認められています。
それでも、祈りと希望を求めて多くの巡礼者が世界中から訪れています。
ルルドの出来事は、すぐに公式承認されたわけではありません。
地元司教による詳細な調査が行われました。
ベルナデッタの証言の一貫性、精神状態、教理との一致などが検討されます。
その結果、1862年にルルドでの出現は「信じるに値するもの」として公に認められました。
これによって巡礼は正式に許可され、聖堂の建設も進められます。
2月11日は、最初の出現があった日です。
そのため教会は、この日を「ルルドの聖母マリア」の記念日と定めました。
さらに1992年、教皇ヨハネ・パウロ二世はこの日を「世界病者の日」とも定めます。
ルルドが病者のための祈りの場となってきた歴史を大切にしたのです。
こうして2月11日は、単なる出来事の記念日ではなく、苦しむ人のために祈る日となりました。
ルルドの聖母マリアとは、一人の聖人の名前ではありません。
1858年に起きた聖母出現という出来事を記念する呼び名です。
その中心には、祈りと悔い改め、そして病者への寄り添いがあります。
2月11日は、奇跡だけを思う日ではありません。
苦しみの中にある人と心を合わせ、自分自身の生き方を見つめ直す日なのです。