〈アブラハムは食物を彼の3人の客に与える〉
〈創世記 第18章〉
主はマムレのテレビンの木のかたわらでアブラハムに現れられた。それは昼の暑いころで、彼は天幕の入口にすわっていたが、目を上げて見ると、3人の人が彼に向かって立っていた。
彼らはアブラハムに言った、「あなたの妻サラはどこにおられますか」
彼は言った、「天幕の中です」
そのひとりが言った、
「来年の春、わたしはかならずあなたの所に帰ってきましょう。その時、あなたの妻サラには男の子が生れているでしょう」
サラはうしろの方の天幕の入口で聞いていた。さてアブラハムとサラとは年がすすみ、老人となり、サラは女の月のものが、すでに止まっていた。
それでサラは心の中で笑って言った、
「わたしは衰え、主人もまた老人であるのに、わたしに楽しみなどありえようか」
主はアブラハムに言われた、
「なぜサラは、わたしは老人であるのに、どうして子を産むことができようかと言って笑ったのか。主にとって不可能なことがありましょうか。来年の春、定めの時に、わたしはあなたの所に帰ってきます。そのときサラには男の子が生れているでしょう」
主はアブラハムに言われた、
「主にとって不可能なことがありましょうか」
※主が主自身のことを言っているのは変ですが、最初の3人は「主と2人」のことで、2人も主として表記されているようです。
サラは恐れたので、これを打ち消して言った、
「わたしは笑いません」
主は言われた、
「いや、あなたは笑いました」
その人々はそこを立ってソドムの方に向かったので、アブラハムは彼らを見送って共に行った。
時に主は言われた、
「ソドムとゴモラの叫びは大きく、またその罪は非常に重いので、わたしはいま下って、わたしに届いた叫びのとおりに、すべて彼らがおこなっているかどうかを見て、それを知ろう」
その人々はそこから身を巡らしてソドムの方に行ったが、アブラハムはなお、主の前に立っていた。
アブラハムは近寄って言った、
「まことにあなたは正しい者を、悪い者と一緒に滅ぼされるのですか。たとい、あの町に50人の正しい者があっても、あなたはなお、その所を滅ぼし、その中にいる50人の正しい者のためにこれをゆるされないのですか。正しい者と悪い者とを一緒に殺すようなことを、あなたは決してなさらないでしょう」
主は言われた、
「もしソドムで町の中に50人の正しい者があったら、その人々のためにその所をすべてゆるそう」
アブラハムは答えて言った、
「わたしはちり灰に過ぎませんが、あえてわが主に申します。もし50人の正しい者のうち5人欠けたなら、その5人欠けたために町を全く滅ぼされますか」
「もしそこに45人いたら、滅ぼさないであろう」
「もしそこに40人いたら」
「その40人のために、これをしないであろう」
「もしそこに30人いたら」
「そこに30人いたら、これをしないであろう」
「もしそこに20人いたら」
「わたしはその20人のために滅ぼさないであろう」
「いま一度申します、もしそこに10人いたら」
わたしはその10人のために滅ぼさないであろう」
主はアブラハムと語り終り、去って行かれた。アブラハムは自分の所に帰った。