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聖トマ(ヴィラノヴァ)大司教

9月22日は、カトリック教会で「聖トマ(ヴィラノヴァ)大司教」を記念する日です。

彼は15〜16世紀に生き、教会改革者であり、「アウグスチノ会の学問研究の保護」として知られる人物です。

学びを愛し、弱き人を支えるその生き方には、今日の私たちにも心を揺さぶるものがあります。

聖トマ(ヴィラノヴァ)|プロフィール

  • 名前
    聖トマ(ヴィラノヴァ)/Thomas of Villanova(本名 Tomás García y Martínez)
  • 生没年
    1488年〜1555年
  • 出身地・時代背景
    スペイン、Ciudad Real 地方の Fuentellana(ヴィラヌエバ・デ・ロス・インファンテス近く)生まれ。ルネサンス期、教会の改革や大航海時代が進む中で、社会的・宗教的に多くの課題があった時代です。
  • 肩書き・役職
    アウグスチノ会会員、司祭、学者、サラマンカ大学で教職、ヴァレンシア大司教(Archbishop of Valencia)などを務めた人です。貧しい人への愛、教育・福祉への献身が際立っています。

聖トマの生涯

以下に、彼の生涯をいくつかの段階に分けて見ていきます。

青年期からの学びと転機

トマは1488年に生まれ、幼いころから家族とともに貧しい人々への手助けに関わって育ちました。父親は粉屋を営みながら、収穫した粉や食料を貧しい人に分け与える習慣があったといいます。

16歳の時、アルカラ大学で学び、後にサラマンカ大学で倫理や哲学・道徳神学(人としてどう生きるか、善悪や他者との関わり方などを考える学問)を教えました。学問の世界での彼の活動が、後の司牧(教会の指導者としての働き)へとつながっていきます。

1516年にはアウグスチノ会に入り、修道者としての生活を選びました。司祭に叙階(きちんと教会の司祭になる儀式)されると、説教者としての働きも始めます。

信仰と活動の展開

トマは「貧しい人たちを助ける」ことを彼の信仰の中心に据えていました。彼自身、とても質素な暮らしを選び、宿泊や服、住まいなどを最小限に抑え、その分を貧しい人への援助に使ったことが知られています。

1544年にヴァレンシアの大司教になると、教区(その地域の教会共同体)の教会改革に取り組みます。教会の制度や礼拝のあり方、司祭たちの働き方などを見直し、信仰がただ形式でなく、人々の心に生きるものとなるよう心を砕きました。

また、貧しい人たちの救済にも力を入れました。孤児、身寄りのない人、結婚資金がない女性、病気の人など多くの弱い立場の人々に対して、日々食事を提供したり、教育や医療の施設を建てたりしました。

彼は単に「物を与える」のではなく、「貧しさを無くす」こと、つまり貧しい人たちが自分で立ち上がれるような仕組みを作ろうとしました。仕事を与えたり、学びの機会を与えたりして、生活の改善を目指したのです。

晩年と評価

トマは質素な暮らしを続けながら、大司教としての務めを果たし、1555年にヴァレンシアで亡くなりました。享年は約67歳とされています。

彼は生前から「貧しい人の父(Father of the Poor)」と呼ばれるほど、その慈しみの心で知られていました。亡くなった後、1658年に教皇アレクサンダー7世によって列聖(聖人として認められること)されました。

聖トマの名言・エピソードから学ぶ

慈善とは、単に物を与えることではなく、受ける人がその必要から解放されることを目指すこと。」
この言葉は、トマが「ただ援助するだけで終わらせずに、貧しい人たちが自分で生活できるようになること」を重視していたことを表しています。

物資を分けることは大切ですが、それだけでは恒久的な助けにはならない。教育・働き方・社会の構造なども整えて、人々が尊厳を持って生きられるようにすることが必要だという考えです。

現代の私たちへのインスピレーション

・ボランティアや募金などの活動をする時、相手の自立や尊厳を考えて行動すること。
・「与えること」だけでなく、「長く続く助け」を考えること。
・自分の生活を見直して、無駄を省き、小さくても誰かの支えになる道を探すこと。

カトリック的ポイント解説

  • 神の愛の恵み(恩寵)
    トマは「神の愛」が人を変え、他者を愛するきっかけになると信じていました。自分自身が神に愛されていることを感じ、それを貧しい人に分け与える生き方です。
  • 善き感心(良心)と行動
    「良心」というのは、自分の中の“何が正しいか”を感じる心です。トマはそれに従い、自分の行動を貧しい人や弱い立場の人のために使いました。教会改革も、この良心の声に導かれてのことです。
  • 信仰と実践の結び付き
    トマにとって、信仰とは祈ることだけでなく、具体的な助けや愛の行動を伴うものでした。「信仰があればこそ、人を助け、弱い人を支えることができる」という考えです。

これらは、現代の信仰生活でも大切なヒントです。「教会での礼拝だけでなく、日常生活でどう人に優しくできるか」「社会の中で自分の強みを生かして他者を助けること」など、トマの生き方は指針になります。

聖トマ|ゆかりの地・書籍・芸術

スペインのヴァレンシア
彼が大司教として教区を治め、教会改革や福祉活動を行った都市。彼の遺体もここに安置されています。

サラマンカ大学(Salamanca)
彼が教えた大学であり、学問の場として多くの学生を導いた場所。

著作・伝記等
彼の説教集や書簡、宗教文書が「Opera omnia」(全集)としてまとめられています。
伝記作家によって彼の生涯を描いた書も複数あります。

芸術作品
聖トマは、絵画やステンドグラスで「貧しい人に施しをする司教」の姿で描かれることが多いです。アウグスチノ会やヴィラノヴァ大学の教会施設など、彼の名前を冠した建物や美術品が存在しています。

まとめ|今日の聖人から学べること

聖トマ(ヴィラノヴァ)は、学びと祈り、そして 弱き人々への愛 を生涯の柱にしました。

ただ物を分けるだけではなく、教育や社会制度を整え、人が尊厳を持って生きられるようにすることを重視したこと。教会の中での改革も、形式だけでなく、人々の心と生活に届く信仰を取り戻そうとしました。

9月22日のこの日、私たちも聖トマのように、「自分ができる小さな愛の行動」を考えてみませんか。