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聖テレジア・ベネディクタ

8月9日は、カトリック教会で「聖テレジア・ベネディクタ」を記念する日です。

心で信じたことに、命をかけた女性がいました。

彼女はもともとドイツの哲学者・エディット・シュタインとして知られていました。ユダヤ人として生まれ、若いころは無神論者(神を信じない立場)でしたが、30歳のときにカトリックの信仰に出会います。

その後、カルメル会の修道女となり、「テレジア・ベネディクタ・ア・クルチェ(十字架に祝されたテレジア)」という名で祈りの生活に入りました。しかし、ナチスによるユダヤ人迫害のなか、強制収容所へと送られ、アウシュビッツで殉教します。

哲学、祈り、苦しみ、そして希望――現代を生きる私たちにも響く、深いメッセージを残してくれた聖人です。

聖テレジア・ベネディクタ|プロフィール

  • 名前
    聖テレジア・ベネディクタ・ア・クルチェ(Teresia Benedicta a Cruce)
  • 本名
    エディット・シュタイン(Edith Stein)
  • 生没年
    1891年10月12日~1942年8月9日
  • 出身地
    ドイツ・ブレスラウ(現ポーランド・ブロツワフ)
  • 肩書き
    哲学者・カルメル会修道女・殉教者・聖人

聖テレジア・ベネディクタの生涯

幼少期と哲学への道

エディット・シュタインは、ユダヤ人家庭に生まれました。彼女が生まれた日はユダヤ教の大切な祝日「贖罪の日」で、家族にとって特別な意味があったようです。

頭の良さと探究心にあふれたエディットは、若いうちから哲学に興味を持ちます。そして大学では、現象学の創始者・フッサール教授のもとで学び、優れた博士論文を発表。ドイツ哲学界で注目される若手研究者になりました。

神を知らなかった時代

意外かもしれませんが、若いころの彼女は「無神論者」でした。目に見えないものより、論理や理性を重んじるタイプだったのです。

しかしそんな彼女の人生を変えたのが、カルメル会の聖女「アビラの聖テレサ」の著書『自叙伝』との出会いでした。

カトリックへの改宗と修道生活

エディットはこの本を読み、「ここに本物の真理がある」と感じます。そしてカトリックの信仰を受け入れ、1922年、30歳で洗礼を受けました。

その後はカトリックの学校で教えたり、講演活動をしたりしながら、信仰と学問の橋渡しをするような働きを続けます。

そして42歳のとき、ついにカルメル会の修道女となります。「テレジア・ベネディクタ・ア・クルチェ(十字架に祝せられたテレジア)」という修道名を受け取り、祈りと沈黙の生活に入ります。

迫害と殉教

しかし、時代はナチスの時代へと突入していました。ユダヤ人への迫害が厳しくなり、修道会は彼女を守るためにオランダの修道院へ移しました。

ところが1942年、彼女と実の姉ローザも含めて、ユダヤ人出身の修道女たちが一斉に逮捕されます。彼女たちはアウシュビッツの強制収容所へ送られ、その地で命を落とします。死の直前、彼女はこう言ったと伝えられています。

「さあ、私たちの民のために。」

聖テレジア・ベネディクタの「言葉と行動」に学ぶ

テレジア・ベネディクタの名言で特に知られているのは、こちらの言葉です。

「真理を求める者は、神を求めているのです。たとえそれに気づいていなくても。」

この言葉には、信仰を持たない人へのあたたかい眼差しが感じられます。

彼女にとって「真理」とは、神さまの愛そのものであり、それを知ろうとする心はすでに神に近づいているという意味です。

また、死の直前に語った「私たちの民のために」という言葉には、彼女が自分のユダヤ人としてのルーツと信仰の間に橋をかけようとしていたことがにじんでいます。

カトリック的ポイント解説|信仰と神の愛

テレジア・ベネディクタの人生は、「神の愛の恵み(恩寵)」に導かれた歩みそのものでした。

彼女は知性の人でしたが、理性だけでは満たされない「魂の渇き」に気づき、祈りと出会います。これは多くの現代人にも通じる経験ではないでしょうか。

彼女が特に大切にしたのは「十字架」です。これは単に苦しみの象徴ではなく、「すべての人のために神が共に苦しんでくださる愛のしるし」なのです。

彼女の著作や手紙のなかには、神の沈黙に耐えながらも信じ抜く力がにじみ出ていて、私たちがつまずいたときに立ち返る言葉がたくさんあります。

聖テレジア・ベネディクタ|ゆかりの地・書籍・芸術作品

  • 生誕地
    ブレスラウ(ポーランド・ブロツワフ)には記念館があります。
  • ケルンのカルメル会修道院
    修道生活を送った場所で、訪れる人も多いです。
  • 映画『エディット・シュタイン』
    彼女の生涯を描いた作品。
  • 著書
    『十字架の科学』『キリストの信仰における女性』など:霊性と哲学が融合した深い内容です。

まとめ|今日の聖人から何を学ぶ?

「本当の真理は、愛と祈りのなかにある」――聖テレジア・ベネディクタの歩みがそう語っています。

彼女は、神を知らなかった過去も、差別や苦しみも、すべて神にゆだね、最期まで信じ抜きました。

私たちもまた、自分自身と向き合いながら、人生の中で「本当に大切なもの」を見つけていけたらいいですね。

明日もまた、新しい聖人との出会いが、あなたの心に光を届けてくれますように。