
12月10日は、カトリック教会で「聖エウラリア(バルセロナ)」と「聖エウラリア(メリダ)」を記念する日です。
同じ名前を持つ2人の少女殉教者は、ともに304年ごろの迫害で信仰を守り通し、その勇気と純粋さでスペイン全土の人々に深く愛されてきました。
しかし歴史の中で両者はしばしば混同され、典礼の中でも一緒に祝われてきたという独特の背景があります。
ここでは、2人のエウラリアの共通点と違いを整理しながら、彼女たちの信仰がどのように受け継がれてきたのかをわかりやすく紹介していきます。
Contents
2人の聖エウラリア|まずは全体像を整理
● 聖エウラリア(バルセロナ)
- ?〜304年
- バルセロナの少女殉教者
- 船員・バルセロナ市の守護聖人
- 文献:聖エウロギウスによる伝承(9世紀)
● 聖エウラリア(メリダ)
- 291年ごろ〜304年
- メリダの少女殉教者
- 古代詩人プルーデンティウスが伝記化
- スペイン古典文学『エウラリアの歌』の主人公
どちらも “若くして殉教した少女” というイメージが強く、その純粋さと勇気が語り継がれてきました。
2人のエウラリアを結ぶ「少女殉教者」としての姿
2人が長い歴史の中で結びついてきた理由のひとつは、驚くほど多くの共通点があることです。
1. ともに304年ごろ、ディオクレティアヌス帝の迫害で殉教
ローマ帝国最後の大迫害の時代であり、キリスト教徒にとって最も厳しい時期でした。
2. 年齢は12〜14歳の少女と伝えられる
幼さと信仰の強さが文学・芸術に強い印象を残します。
3. 死を恐れず、公の場で信仰を告白した
少女でありながら揺るがない信仰を示す姿が理想化され、
中世ヨーロッパの人々を深く感動させました。
4. スペインでは「清らかさ・勇気・殉教の象徴」として尊敬されてきた
この強い精神性が、次章の“混同される理由”へとつながります。
なぜ混同されたのか?|教会史の中の2人のエウラリア
歴史研究によれば、6世紀ごろにはすでに2人の物語が重なり合い、スペインの典礼書に「一緒に記載」されてしまった 時期があります。
その背景にはいくつかの理由があります。
- 名前が同じ(Eulalia=「よく語る者」)
古代ギリシア語由来の名前で、同じ地域に分布していたため混乱を招いた。 - 殉教の年が同じ(304年)
迫害のクライマックスとされる年で一致していた。 - 少女殉教者という象徴性が強かった
文学や詩に影響され、2人のイメージが一つの理想像に融合。 - 中世文学『エウラリアの歌』の影響
メリダのエウラリアをモデルとした作品が広まる中で、バルセロナの伝承とも結びついていった。
このように、歴史的に「別人である」という事実よりも、2人の信仰の象徴性が優先された時代が続いたのです。
違いを整理|バルセロナとメリダ、それぞれの聖エウラリア
ここでは、ふたりを見分けるための決定的な特徴を整理します。 バルセロナは“都市の守護聖人”、メリダは“文学的・古典的殉教者”として性格が異なります。
聖エウラリア(バルセロナ)
- バルセロナの伝承に根づいた殉教者
- 彼女の墓がバルセロナ大聖堂地下にある
- 船員の守護聖人 として崇敬される
- 伝承では十字架にかけられ殉教したと言われることも
- 伝記化は聖エウロギウスによるものが中心(9世紀)
聖エウラリア(メリダ)
- 古代ローマ都市メリダの殉教者
- プルーデンティウスが詩『Peristephanon』に詳述
- 『エウラリアの歌』で中世スペイン文学の象徴的存在に
- 岩の上から落とされ殉教した伝承も
カトリック的ポイント解説|少女の信仰と清い勇気
2人のエウラリアが教える大切なテーマは、「信仰は年齢に関係なく実る」 ということです。
- 権力に屈せず信仰を告白した勇気
- 神への忠実さ
- 清らかな心
- 命をかけて真理を守る姿勢
現代の教会でも、彼女たちは 「純粋な信仰の証人」 として取り上げられます。また、2人の物語が融合した歴史は、信仰の物語が人々の心を動かし、文化として広がる ことを示す好例でもあります。
まとめ|今日の聖人から学べること
聖エウラリア(バルセロナ)と聖エウラリア(メリダ)は、歴史的には別人でありながら、その信仰と勇気があまりに美しく力強かったため、長い時代の中でひとつの“理想の殉教少女像”として結びつけられてきました。
彼女たちは、「年齢に関係なく、真理のために立ち上がる心の強さ」の象徴です。
また、2人の物語が複雑に重なる歴史そのものが、信仰が文化となり、文学となり、人々の祈りとして息づいていく過程を示しています。
今日の聖人としてこの2人を共に記念することは、“純粋な心は時代を超えて輝く”という教会のメッセージを思い起こさせてくれます。
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