ドレ〈ミルトン失楽園〉
独り子はルシファーの軍勢を水晶の城壁まで追い詰め、開いた城壁から地獄へと突き落としました。ルシファーたちは九日間墜ち続け、地獄の炎に包まれました。
天は喜び、独り子は凱旋の戦車に乗って帰還し、天使たちは喜びの声を上げました。
ルシファーの軍勢、水晶の城壁から地獄へ
独り子は雷光に包まれるルシファーの軍勢を追い詰め、憤怒の表情で天の境にある水晶の城壁まで追い込みました。
すると、城壁が内側に大きく開き、下方には荒涼とした深淵が広がっていた。ルシファーの軍勢は驚き、一時的に立ち往生しましたが、独り子の迫りくる姿に恐れをなしました。
最終的に、彼らは天の端から身を投げ下りざるを得ませんでした。永遠の怒りが炎となり、彼らを底知れぬ奈落へと引きずり込んでいきました。
実に九日間、墜ち続けたルシファーたち！
『地獄』は一瞬で開き、彼ら全員を呑み込み、すぐに閉じました。絶え間ない業火に包まれた地獄は、ルシファーたちに相応しい住処であり、悲哀と苦痛の場です。
叛逆者が消え去ると、天は喜びました。城壁はすぐに閉じられました。
勝利を収めた独り子は凱旋の戦車に乗って帰還しました。彼の救世主としての偉業を黙って見守っていた天使たちは、喜びの声を上げて迎えました。全ての階級の天使が大きな枝を持ち、凱歌を歌い、独り子をたたえました。
「勝利者である王よ、御独り子よ、世嗣よ、我らの主よ、主権を与えられた者よ、支配者であるに相応しい者よ」
御子は歓声に迎えられ、凱旋の姿も凛々しく、天の中心を戦車に乗ったまま駆け抜け、高い王座に座っておられる力強い父なる神の宮殿と神殿へ帰還されました。
そして、神によって栄光の座に招かれたもうたが、今もなお、神の右手にいる祝福の座にいます。
ドレ〈堕天使〉
［エピローグ］アダムを諭すラファエル
「本来なら人間には秘密にしておくべきで、話すべきではなかったかもしれません。
私は、天に生じた不和や、天使たちの間で起こった天上の戦い、高い野心を抱いてルシファーと共に叛逆し、最後に地獄に落ちた者たちのことを話しました。
過去の出来事を知ることで、今後の戒めとしてもらいたいと思ったからです。
そのルシファー、つまり今や地獄にいるサタンが、実は、今のあなた（アダム）の幸せな生活を妬み、あなたを誘惑し、神から引き離し、神に服従するのを止めさせようとしています。
彼はあなたを自分と同じ刑罰、永遠の悲しみに陥れようと企んでいます。
彼があなたを苦しみの仲間にしようとすれば、それこそ神への侮辱となり、彼にとっては満足の復讐になるでしょう。彼の誘惑に耳を貸してはいけません。
イヴも弱い者です。叛逆の報いがどんなものか、あなたは知っているはずです。それを無駄にしないでください。
彼らは堕落するはずはありませんでしたが、堕落しました。そのことを忘れず、罪を犯さないように気をつけてください」
ラファエルはこう諭し、天に帰って行きました。
【失楽園（堕天編）】天使間アルマゲドン END
サタンの野望は、エデンの園でのイブの誘惑へと進んでいきます。
【失楽園（原罪編）】をお楽しみに。
ドレ〈エデンの園を見下ろすサタン〉
