11月29日は、カトリック教会で「聖セルニン」を記念する日です。
セルニンは3世紀の宣教者で、ローマからスペイン、そしてフランスへと旅しながら多くの人々にキリストの教えを伝えました。
その熱心な宣教ゆえに迫害を受け、最後は殉教という形で信仰を証しした人物です。
トゥールーズに残る壮大なロマネスク聖堂は、今も彼の存在を静かに語り続けています。
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セルニンはローマで生まれ、若いころから教会に仕えたと伝えられています。
245年ごろ、教皇ファビアノからスペインのパンプローナに派遣され、異国の地で宣教を始めました。当時のスペインはまだキリスト教が根づいておらず、宣教は大きな挑戦でした。
それでも彼は、信仰を必要とする人々のもとへ、恐れずに向かっていったと言われています。
その後セルニンはフランス南部のアルスに渡り、地元の司教のもとで宣教に励みました。その働きぶりが認められ、彼はやがて トゥールーズの司教 に任命されます。
トゥールーズは商業都市として栄えており、多くの宗教が入り交じる場所でした。
セルニンはここで説教を続け、数多くの人をキリストの教えへ導きました。彼の言葉は力強く、同時に温かいもので、多くの市民が心を動かされたといわれています。
しかし、トゥールーズにはローマの宗教を守る神殿があり、その祭司たちはセルニンの存在を快く思いませんでした。
人々がセルニンの建てた教会へ寄付をするようになったことで、彼らの反感はさらに高まりました。
ついにセルニンは、神殿の祭司たちによって捕えられます。そして、伝承によれば彼は 牛に引きずられて殉教した といわれています。
この“牛”は彼の象徴となり、後に聖遺骨もブロンズの雄牛の上に安置されました。
彼の死は悲しいものでしたが、その信仰の勇気はトゥールーズの人々に深い印象を残し、キリスト教の広がりをさらに後押ししました。
セルニンには、確実な出典付きの言葉として残っている名言は多くありません。
しかし、彼の生涯から伝わる 「信仰のために恐れずに歩む者は、神の光の中を進む」 という精神は、後の教父たちによって評価され、初期キリスト教の勇気ある宣教者の代表として語り継がれています。
この姿勢は、迫害の中でも人々に寄り添い続けた彼の生き方そのものです。
セルニンが大切にしたテーマは 宣教と勇気 です。3世紀はまだキリスト教が公認されておらず、宣教は命がけでした。
そんな中で彼は、自分の立場を守るよりも、困っている人・真理を求める人に福音を届けることを第一にしました。
現代を生きる私たちにとっても、「誰かのために一歩踏み出す勇気」「損得よりも、愛に根ざした行動を選ぶこと」など、日常に生かせるポイントが多くあります。
聖セルニンの生涯は、宣教者としての強い使命感と、どんな迫害の中でもあきらめなかった勇気によって彩られています。
ローマからスペイン、そしてフランスへと続く旅路の中で、彼は多くの人々に福音を届けました。トゥールーズで殉教した後も、その精神は大聖堂とともに生き続けています。
私たちもまた、日常の中で小さな勇気を持ち、誰かに優しさや希望を届ける生き方を見つめ直すきっかけをもらえる聖人です。