1月28日は、カトリック教会で「聖トマス・アクィナス」を記念する日です。
彼は、ギリシャ哲学者アリストテレスの思想を取り入れながら、キリスト教にふさわしい神学を打ち立てた人物でした。
主著『神学大全』によって、信仰と理性は対立しないことを、丁寧な言葉で示した教会博士として知られています。
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トマスは、幼いころから学問に親しみました。
ベネディクト会のモンテ・カッシーノ修道院で教育を受け、その後ナポリ大学で学びます。
大学で学ぶ中で、トマスは司祭として生きる決意を固めました。
彼は設立されたばかりのドミニコ会に入会しようとします。
しかし、両親や兄弟から激しく反対され、城に閉じ込められてしまいました。
それでも彼は信念を曲げず、ついにドミニコ会に入ります。
トマスはパリやドイツのケルンで学び、哲学と神学を深めました。
内気な性格だった彼は、学生仲間から「だんまり屋のシシリー牛※」と呼ばれていました。
しかし教授であった大聖アルベルトは、彼の才能を見抜きます。
二人は深い友情で結ばれ、トマスは当代随一の学者へと成長しました。
※この呼び名は、無口で動きが鈍く見えることをからかったあだ名です。
当時ヨーロッパでは、ギリシャ哲学者アリストテレスの思想が広まり、混乱が生じていました。
ある学者は信仰を捨て、ある学者は哲学そのものを否定しました。
トマスは、そのどちらも選びませんでした。
彼はアリストテレスの思想の一部を取り入れ、キリスト教に調和する形で神学を組み立てたのです。
その結晶が『神学大全』です。
この書物は、神の愛と、神の内にある完全さを理性の言葉で示した不朽の名著とされています。
1274年、トマスはリヨン公会議に向かう途中で病に倒れました。
そのまま回復することなく、静かに生涯を閉じます。
トマスは多くの著作を残しました。
その中でよく知られている言葉があります。
「理解するために信じ、信じるために理解する。」
この言葉は、信仰と理性が互いを支え合う関係にあることを示しています。
聖トマスが重んじたのは、理性の光です。
人間の理性も、神から与えられた賜物であると考えました。
祈りと学問を切り離さず、どちらも神に向かう道として受け止めたのです。
現代に生きる私たちにとっても、考えることを恐れない信仰の姿を示しています。
『神学大全』は、今も神学教育の基礎文献とされています。
また、彼は学生や学校の保護者とされています。
大学や学問に関わる場所で、聖トマスの名が大切にされている理由です。
聖トマス・アクィナスは、理性と信仰を対立させなかった聖人でした。
深く考えることも、神を信じることも、同じ道の上にあると示した人です。
学ぶことに迷いを感じたとき、彼の生き方は大きな支えになります。
知性を通して神を賛美する。
それが、今日の聖人が私たちに残した大切なメッセージです。