8月9日は、カトリック教会で「聖オズワルド」を記念する日です。
ひざまずいて祈った王がいたことを、あなたは知っていますか?
オズワルドは、7世紀イギリスのノーサンブリア王国の王として知られています。しかし、ただの戦い好きな王ではありませんでした。幼いころに国を追われ、修道院で信仰を学び、祈りによって国を導いた人物です。
やがて彼は、戦場でひざまずいて祈り、勝利をおさめ、国にキリスト教を広めました。その生涯は、まさに信仰とリーダーシップの融合。今も多くの人びとに感動を与えています。
では、聖オズワルドとはどのような人物だったのでしょうか?その生涯と信仰の歩みをたどってみましょう。
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聖オズワルドは、今でいうイギリス北部を治めていた「ノーサンブリア王国」の王でした。しかし彼の人生は、ただ王座にあるだけのものではありませんでした。戦争、逃亡、修道院での信仰生活…そのすべてが彼の魂を磨き、聖人としての生涯を形づくっていきました。
オズワルドがまだ12歳のころ、父であるノーサンブリア王が敵国イーストアングリアの王に殺されてしまいます。そのため、オズワルドと兄弟たちは命を守るために北のスコットランドへ逃れました。
行き先は、スコットランド西部にある「アイオナ修道院」。この修道院はアイルランド系の修道士たちが活動していた、祈りと学びの場でした。ここで彼はキリスト教に出会い、洗礼を受け、深い信仰に育まれていきます。
やがて兄たちが相次いで戦死すると、オズワルドは祖国を取り戻すために立ち上がります。伝えられるところによると、彼は戦いの前に大きな木の十字架を作らせ、それを自ら立て、兵士たちとひざまずいて祈りました。
「神さま、この戦いに勝利を与えてください」と。
そして彼の軍は見事勝利を収め、オズワルドはノーサンブリアの王として即位します。
王になったオズワルドは、自らが信じたキリスト教を国中に広めるため、アイオナ修道院から宣教師を招きました。その代表的な人物が、アイダン神父です。
オズワルドはアイダンに「リンディスファーン島」という土地を与え、そこを拠点に宣教活動を行わせました。この地は、後にイングランドで最も重要なキリスト教センターのひとつになっていきます。
オズワルド自身も信仰の支え手として働き、民衆のために祈り、施しを与え、困っている人びとに寄り添いました。
642年、オズワルドは異教徒のマーシア王と戦いに臨みます。しかし、残念ながらこの戦いには敗れてしまいます。
けれども、彼の最期の言葉が今も語り継がれています。
「神よ、彼らの魂をあわれんでください。」
敵である相手の魂さえ、神のもとにゆだねて祈ったこの言葉には、王としての誇りと、神への深い信頼が込められています。
オズワルドの人生で最も印象的なのは、戦いの前にひざまずいて祈ったことと、敵の魂のために祈ったことです。
それはまるで「祈りこそ最大の力」であると証ししているようです。
現代に生きる私たちも、困難なときにこそ祈り、平和を願い、争いではなく思いやりで向き合う姿勢を見直したくなります。
オズワルドが大切にしていたのは「神への信頼」と「隣人への思いやり」でした。
キリスト教では、祈りは神との会話であり、どんなときも神の愛に包まれていることを思い出させてくれるものです。
また、彼がアイダン神父を迎えて宣教に力を入れたことは、信仰を広める使命を大切にした証しでもあります。
その姿勢は、今のカトリック教会においても、宣教や対話を大切にする精神として受け継がれています。
『ベーダ「イングランド教会史」』:オズワルドに関する記録が残されています。また、巡礼案内や、イギリスの聖人に関する書籍にも、彼の章があります。
「祈りには力がある」。聖オズワルドの姿が、そう教えてくれます。
私たちも日々の中で、小さな「祈り」を大切にすることから始めてみませんか?
困難なとき、迷ったとき、誰かのために心を寄せるとき…祈りは、神さまとのつながりを感じさせてくれます。
明日もまた、新たな聖人との出会いが、あなたの心に光を灯してくれますように。