8月11日は、カトリック教会で「聖クララ(キアラ)」を記念する日です。
裕福な家に生まれながらも財産も名誉も捨て、清貧と祈りに生きた女性――それがアッシジのクララ(キアラ)です。
彼女は聖フランチェスコに感化され、女性のための修道会「クララ会(キアラ会)」を創立しました。その生き方は、中世だけでなく現代を生きる私たちにも深い問いかけを与えてくれます。
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キアラは貴族の家に生まれ、何不自由ない生活を送っていました。母オルトラーナは信仰心があつく、聖地巡礼にも出かけたほど。そんな母の影響もあり、キアラも幼いころから神に心を向けて育ちます。
1210年ごろ、アッシジの町で聖フランチェスコの説教を聞いたキアラは、その言葉に心を動かされます。財産や地位を捨てて貧しい人々と共に生きる――そんな生き方が、若い彼女の心を強く揺さぶったのです。
両親は裕福な男性との結婚を望みましたが、キアラはそれを拒み、1212年3月20日、家を出てフランチェスコのもとへ向かいます。修道女としての証に、長い髪を切り、粗末な服に着替えました。
やがてキアラは、アッシジのサン・ダミアーノ教会で女子修道会を創設します。会の特色は、清貧(財産を持たない)、貞潔(結婚せず神に仕える)、従順(共同体の規律を守る)という3つの誓いにありました。
彼女は「財産を持たない」という誓いに特にこだわり、教会からも時に反発を受けながらも、生涯それを貫きます。
晩年のキアラは長く病に苦しみましたが、その間も修道会の運営と手紙での励ましを続けます。1253年8月9日、教皇インノケンティウス4世は彼女の会則を正式に承認。その2日後、キアラは59歳で神のもとへ旅立ちました。
キアラの残した言葉の中で有名なのは、
「魂の中にキリストを映す鏡を持ちなさい」
これは、私たちが日々の生活の中で、自分の心を神の愛に照らし合わせるようにというメッセージです。現代で言えば、SNSや世間の評価よりも、自分の良心や信仰に耳を傾ける大切さを教えてくれます。
また、彼女の行動の中で有名なのが「聖体で町を守った」逸話です。修道院が侵略者に襲われそうになったとき、キアラは聖体顕示台(神のパンである聖体を入れる器)を抱えて立ち向かいました。すると襲撃者は退き、町は守られたと伝えられています。
キアラの信仰の中心は「清貧」でした。これは単なる物質的な貧しさではなく、「神だけを持つ豊かさ」という意味です。
私たちも忙しい日常の中で、物や情報に囲まれすぎてしまうことがありますが、キアラは「本当に必要なものは少ない」と教えてくれます。
また、彼女は祈りを大切にし、修道院の中で静かに神と向き合い続けました。その姿勢は、外に出て活動することが難しい人でも、祈りや心のあり方で世界を変えられるという希望を示しています。
聖クララ(キアラ)は、豊かさの価値を物ではなく神との関係に見いだしました。
彼女の生き方は、「少ないもので、豊かに生きる」ことの喜びを教えてくれます。
明日もまた、歴史の中から光る聖人の物語をご紹介しますので、どうぞお楽しみに。