9月2日は、カトリック教会で「聖パウロ(エジプト)」を記念する日です。
彼は「最初の隠修士」とも呼ばれ、長い年月を荒れ野で祈りと断食の生活に捧げました。
信仰の力で生き抜いた彼の物語は、今を生きる私たちにも「信じることの強さ」を問いかけてきます。
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パウロはエジプトのデバイスで、228年ごろに生まれました。
当時のローマ帝国はキリスト教への迫害が激しく、特に皇帝デキウスの時代(3世紀中頃)は多くの信徒が信仰のために命を落としました。パウロの家族も例外ではなく、彼自身も信仰を理由に命の危険にさらされました。
さらに、不幸は身近なところからも訪れました。異教徒である姉の夫が、彼を役人に密告しようとしたのです。信仰を守りぬきたいパウロは、迫害と裏切りから逃れるために、荒れ野へと向かう決断をしました。
パウロは砂漠の洞くつに入り、祈りと苦行の生活を始めます。衣服はヤシの葉で作った粗末なもので、食べ物は限られていました。
そんな彼を支えたのは、毎日一羽のカラスが運んでくるパンでした。このエピソードは、神がどんな状況でも人を見捨てないことを象徴するものとして、多くの人々に語り継がれています。
パウロは60年以上も人と接することなく暮らし続けました。孤独の中で祈りを積み重ねる姿は、後世の修道士たちにとって「模範」となり、やがて修道生活の土台を築くことになります。
113歳という長寿を迎えたパウロのもとに、「修道生活の父」と呼ばれる聖アントニウスが訪ねてきます。
長い祈りの生涯を送った彼は、まさに信仰の実りそのもののように見えたことでしょう。パウロはその直後に天に召されました。
後に教会は彼を「最初の隠修士」として敬い、その生涯を修道生活の理想的なモデルとしました。
聖パウロ自身の言葉は残されていませんが、彼の生涯を伝える聖アントニウスとの出会いにまつわる記録があります。
アントニウスが訪れたとき、2羽のカラスがやってきて、普段より多い2枚のパンを運んできたのです。これは「客人と分かち合うために神が備えられた」と理解されました。
この出来事は「信じる者には神が必要なものを与える」というメッセージを表しています。現代の私たちにとっても、困難の中で信じ続ける勇気を与えてくれるエピソードです。
聖パウロが示した大切なテーマは「神への全き信頼」です。荒れ野という厳しい環境で、彼は自分の力ではなく神の恵みに頼って生きました。
神学的にいうと、これは「神の摂理(神がすべてを導いていること)」を具体的に示す生き方です。難しい言葉を使わずに言えば、「自分の人生を神さまに委ねる」ということです。
今日の信仰生活でも、忙しさや不安の中で「神にゆだねる姿勢」を持つことが、心の平安につながるのではないでしょうか。
聖パウロ(エジプト)の生き方は、一言でいえば「神さまにすべてをゆだねて祈り続けた人生」でした。
私たちも忙しい日々の中で少し立ち止まり、信じる心を持つことで、新しい力を得られるのではないでしょうか。
次回はまた別の聖人の物語をご紹介します。どうぞお楽しみに。