11月20日は、カトリック教会で「聖フェリクス・オブ・ヴァロア」を記念する日です。
貴族出身でありながら、最後は「人を自由にするため」に生涯を使った司祭。そんな静かで力強い人生を歩んだ聖人です。
彼の物語は、現代を生きる私たちにも、「誰かのために生きる喜び」をそっと教えてくれます。
Contents
聖フェリクスは、敬虔な両親のもとフランスのヴァロア地方に生まれました。
教育は、当時の名修道院として知られていたクレルヴォ修道院で受け、聖ベルナルドの影響を受けて信仰深い青年へと成長します。
若い頃はフランス宮廷に仕え、後には皇帝とともに十字軍にも参加しました。戦いは大きな経験となりましたが、その一方で「もっと人のために祈り、尽くしたい」という思いが心の中に芽ばえていきました。
帰国後、彼は宮廷を離れ、静かな祈りを求めて荒野に身を移します。ここから、彼の人生は大きく変わっていきました。
隠遁生活を始めて20年ほどたった頃、フェリクスは偶然にもパリ大学の教授であったヨハネ・デ・マタと出会います。
二人は祈りの中で「囚われた人々を救う使命」を感じます。当時、地中海地域では戦争によって多くの人が奴隷や捕虜となり、自由を奪われていました。
この使命を果たすため、二人はローマに赴き、教皇インノケンティウス3世から正式な認可を受けます。こうして 三位一体会(Trinitarians) が誕生しました。
三位一体会は、奴隷や捕虜の解放・十字軍従軍者の看護・療養所の設立など、実際に人の命と自由を守る働きを続けました。
1198年、フェリクスはフランス・セルフロアに修道院を建て、仲間を集め、彼らを養成しました。一方のヨハネはアフリカへ渡り、最前線で奴隷解放の活動を行いました。
フェリクスの役割は「支えること」。陰で多くの働きを助け、会を広げ、祈りを守り続けました。
高齢となったフェリクスは修道院で静かに祈りと指導を続け、1212年に召されました。
長い生涯の中で、戦いも不自由も知りながら、それでも最後まで「人を自由にする」ことを願い続けました。
今日、三位一体会は世界の多くの国に広まり、彼の精神は今も受け継がれています。
彼の言葉ではなく「行動によって語られたメッセージ」を紹介します。
・「人を苦しみから解放することは、神へのもっとも深い祈りである」
三位一体会の活動方針として語られてきた精神で、フェリクスの生涯そのものを表します。祈りと行動を一つにし、「愛を実践することが信仰そのもの」という教えを示した言葉です。
フェリクスが大切にしたテーマは 「自由とあがない」 です。
当時の世界では多くの人が戦争に巻き込まれ、自由を奪われていました。フェリクスとヨハネは、単に祈るだけでなく、実際に行動を起こしました。
・捕虜を買い戻す
・交渉して解放を求める
・病人を世話する
・修道士を育てる
これらの行いは、キリストが示した「隣人愛」を具体的に生きた姿そのものです。
現代の私たちにとっては「弱い人に寄り添う」「困っている人に気づく」など、身近な実践として受け取ることができます。
※三位一体会(Trinitarians)
三位一体の神(父と子と聖霊)の愛を模範とし、捕虜や奴隷の「解放」を使命とする修道会。
聖フェリクス・オブ・ヴァロアは、貴族という恵まれた立場にありながら、あえて静かな隠遁生活を選び、さらに祈りの中で「人を自由にする」という使命を見いだしました。
ヨハネ・デ・マタと共に三位一体会を創立し、多くの人の命と尊厳を守る働きを続けました。
彼の生涯は、祈りと行動が一つになるとき、人は誰かの希望になれるということを教えてくれます。日々の中で、小さな助け合いを実践することこそ、現代の私たちが彼から学べる大切な姿勢です。