8月25日は、カトリック教会で「聖ヨセフ・デ・カラサンス」を記念する日です。
彼は「教育の聖人」と呼ばれ、貧しい子どもたちに学ぶ機会を開いた司祭でした。
社会の偏見や誤解に苦しみながらも、「教育はすべての人に必要だ」と訴え続けたその姿は、今も教育と信仰のモデルとして光を放っています。
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ヨセフは1557年、7人兄弟の末子としてスペインに生まれました。
大学で法学と神学を学び、26歳で司祭になります。学問への情熱は強く、バルセロナ大学で法学と神学の博士号を取得しました。
その後ローマに渡り、そこで彼の人生を変える出来事が訪れました。
町に教育を受けられない貧しい子どもたちがあふれている光景を見て、心を深く動かされたのです。
ヨセフは子どもたちの未来を守るため、同志とともに無償の学校を始めました。
やがて生徒が増え、教皇クレメンス8世、続くパウロ5世からの支援を得て学校は拡大します。そして1600年、「エスコラピオス修道会」を創立し、彼自身が初代総長となりました。
しかし活動は順風満帆ではありませんでした。当時「学問は裕福な階級のもの」と考えられていたため、貧しい子どもへの教育は反発を受けました。
それでも彼は「すべての人が幸福になるには才能を伸ばす教育が必要」と訴え続けました。
晩年のヨセフは、修道会内部の対立に苦しみました。同志であったマリオ・ソッツィやその後継者ケルビニに総長職を奪われ、晩年は影に退くこととなりました。
それでも彼は「正しいことは正しい」と言い続け、多くの人に尊敬されました。1648年8月25日、ローマで亡くなります。
死後、修道会は再建され、1669年に正式な修道会として歩みを続けます。そして1767年、教皇クレメンス13世によって列聖されました。
彼が残した言葉に「教育こそ人間を幸せに導く道である」というものがあります。貧しい子どもたちの未来を信じ、教育の力で人生が変わると確信していたのです。
この言葉は現代にも通じます。誰もが学ぶ権利を持ち、教育が人を自由にし、社会をより良くすると私たちに教えてくれます。
ヨセフが大事にしたのは「神の愛をすべての子どもに伝える教育」でした。
神学的には「召命と恩寵(神の恵み)」を大切にしたと言えますが、平易に言えば「子どもたちは神から与えられた才能を伸ばす存在」という考えです。
教育を通して神の愛を実感させることが、彼の使命でした。この精神は今も教会の学校や福祉活動の中で生きています。
聖ヨセフが創立したエスコラピオス修道会は、現在も世界各地で活動を続けています。日本でも東京・横浜・京都に拠点があり、幼児教育や青少年の育成に携わっています。
また、彼の生涯を描いた伝記は教育関係者に読み継がれ、芸術作品でも「子どもに教える司祭」として描かれることが多いです。教育を受ける子どもたちと共にいる姿は、彼の精神そのものを象徴しています。
聖ヨセフ・デ・カラサンスは、教育を受けられない子どもたちのために生涯をささげました。その姿は「教育はすべての人に与えられるべき恵み」という信念を体現しています。
私たちもまた、自分の周りの人の才能や可能性を見出し、育てる存在になれるのではないでしょうか。次回の聖人からも、新たな光を受け取っていきましょう。