1月16日は、カトリック教会で「聖マルチェロ1世教皇」を記念する日です。
教会のために尽くした結果、馬小屋で働くことを強いられた教皇がいました。それでも信仰を捨てなかった聖マルチェロ1世の生き方は、静かですが強い光を放っています。
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聖マルチェロ1世が教皇に選ばれたのは、西暦308年頃のことです。
この時代、ローマ帝国では激しいキリスト教迫害が行われ、多くの信徒が命を落とし、教会は大きな打撃を受けていました。
前任の教皇が亡くなってから約3年間、教皇の座は空位となり、教会は指導者を失った状態が続いていました。
そのような混乱の中で選ばれたのが、マルチェロ1世でした。
マルチェロ1世が最初に取り組んだのは、乱れてしまった教会の秩序を回復することでした。
ローマ市内をいくつかの地区に分け、それぞれに祈りの場となる祈祷所を整え、司祭が信徒を支えやすい体制を作ったと伝えられています。
また、迫害の中で信仰を守れなかった人々に対しても、悔い改めの道を示しました。
厳しさだけで裁くのではなく、再び信仰に立ち返る機会を与えた姿勢は、多くの信徒の心を支えました。
しかし、教会の再建が進むにつれ、当時の皇帝マクセンティウスはこれを快く思いませんでした。
皇帝は教会活動に介入し、祈祷所を閉鎖し、馬小屋として使わせたと伝えられています。
さらにマルチェロ1世自身も、その馬小屋で働くことを強制されました。
教皇でありながら、家畜の世話をするという屈辱的な状況に置かれても、彼は信仰を捨てなかったと伝えられています。
やがてマルチェロ1世はローマから追放され、流刑の地で生涯を終えました。
亡くなった後、その遺体はローマの聖プリスキラの墓地に葬られ、後に聖人として敬われるようになります。
現在、遺骨はローマのサン・マルチェッロ・アル・コルソ教会に安置されています。
聖マルチェロ1世には、確実な形で伝えられた名言は残っていません。
しかし、教皇という立場を奪われ、馬小屋で働かされても信仰を守り続けたその姿そのものが、何よりのメッセージと言えるでしょう。
言葉より行動で信仰を示した聖人です。
聖マルチェロ1世の生涯から見えてくる大切なテーマは、「忍耐」と「教会への忠実さ」です。
立場や名誉を失っても、神への信頼を手放さなかったことは、現代の私たちにも多くの示唆を与えてくれます。
困難な状況でも、信仰と良心を守ることの大切さを教えてくれる存在です。
ローマにあるサン・マルチェッロ・アル・コルソ教会は、聖マルチェロ1世にささげられた教会として知られています。
迫害の時代を生き抜いた教皇の記憶を今に伝える巡礼地です。
聖マルチェロ1世教皇は、迫害後の混乱した教会を立て直し、そのために屈辱と苦しみを受け入れた人物でした。
馬小屋に追いやられても信仰を捨てなかった姿は、信じることの強さを私たちに教えてくれます。
困難の中でも誠実に歩み続けること。その大切さを、今日の聖人は静かに語りかけています。