10月4日は、カトリック教会で「聖フランシスコ(アッシジの)」を記念する日です。
裕福な青年時代を送りながら、すべてを捨てて神と人に仕える道を選んだ彼の生涯は、シンプルで力強い信仰の姿を私たちに示しています。
小鳥や動物たちに語りかけ、自然を神の恵みと受け取ったフランシスコは、現代でも世界中の人々に愛され続ける聖人です。
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フランシスコはアッシジで裕福な織物商の息子として生まれ、快楽と自由を楽しむ青春時代を過ごしました。
やがて騎士に憧れ、戦いの場に出ましたが、そこで病に倒れ、夢の中でイエス・キリストに出会います。この体験をきっかけに、彼の人生は大きく変わりました。財産を貧しい人々に分け与え、質素な服に身を包んでローマを巡礼しました。
アッシジに戻ると、壊れた聖堂で祈る中で「フランシスコよ、わたしの教会を建て直しなさい」というキリストの声を聞きます。彼は直ちに聖堂の修復に取りかかり、父から勘当を受けても信仰の道を選びました。
フランシスコは同志を集め、「清貧」「愛」「従順」を中心とする共同体を築きました。
1209年にはローマで教皇インノセント3世から正式に認められ、「小さき兄弟会(フランシスコ会)」を創立します。その生活は贅沢や権力から離れ、神の前にへりくだり、隣人に仕えるものでした。
また、彼は自然界に神の恵みを見出しました。鳥や動物に説教したと伝えられ、すべての被造物を兄弟や姉妹として呼び、神を賛美する歌『太陽の賛歌』を作りました。これは中世文学の傑作としても知られています。
さらに、フランシスコはクリスマスの夜に馬小屋を飾って礼拝をした最初の人物とされ、現在の「クリスマス・プレゼピオ(馬小屋飾り)」の習慣は彼から広まりました。
「小さな兄弟である鳥たちよ、神を賛美しなさい。神はあなたたちに羽を与え、空を飛ぶ自由を与えられたのです。」
最も有名なエピソードの一つが「小鳥への説教」です。ある日、フランシスコが道を歩いていると、大勢の小鳥が彼のまわりに集まりました。そこで彼は立ち止まり、こう語りかけたと伝えられます。
小鳥たちは彼の言葉に耳を傾け、飛び去るときには神を賛美するように羽ばたいたと記録されています。この姿は、フランシスコが自然界すべてを神の愛の現れとして見ていたことを象徴しています。
もう一つ特筆すべきは、彼が十字軍の時代にエジプトを訪れ、イスラムの指導者サルタン・アル=カーミルと出会ったことです。戦いのただ中で、フランシスコは恐れずに敵陣に入り、サルタンに対して平和のメッセージを伝えました。
驚いたことに、サルタンは彼を処刑せず、むしろ敬意をもって受け入れたと伝えられています。この出来事は、異なる宗教間の対話と尊重の模範として、現代にも強い影響を与えています。
1224年、祈りの中でフランシスコはキリストの十字架の傷をその身に受けたと伝えられています。これを聖痕と呼び、彼がキリストに深く一致した証とされています。
病弱な体となりながらも、最後まで信仰と喜びを失うことはありませんでした。1226年、45歳ほどで帰天しました。後に列聖され、世界的に尊敬される聖人の一人となりました。
有名な言葉の一つに次のものがあります。
「わたしは、兄弟たちに説教するために言葉を使うこともある。」
これは「言葉よりも生き方そのものが説教である」という意味を表しています。フランシスコにとって大切なのは、美しい説教を語ることより、日々の行いを通して神の愛を証しすることでした。この姿勢は現代でも大きな学びを与えてくれます。
フランシスコの中心にあったテーマは清貧と愛です。彼は物質的な豊かさよりも、神との交わり、隣人との共生を大切にしました。また、自然やすべての生き物を「神から与えられた兄弟姉妹」として受け入れる姿は、今日の環境問題や平和への関心とも響き合います。
現代の信仰生活において、フランシスコの生き方は「シンプルに生きることの豊かさ」を教えてくれます。祈り、感謝し、分かち合う心を持つことが、彼の精神を引き継ぐ道です。
聖フランシスコ(アッシジの)は、裕福な生活を捨て、清貧と愛をもって神と人に仕えた人物でした。
フランシスコ会の創立者として教会を刷新し、自然とすべての被造物を神の恵みと受けとめる生き方を示しました。小鳥への説教やサルタンとの対話、クリスマスの馬小屋の習慣など、彼の信仰は文化や生活にも深く根づいています。
現代に生きる私たちにとっても、シンプルさと分かち合いの精神は大切な指針であり、フランシスコは今も世界中の人々に愛と希望を与え続けています。