
6月24日は、カトリック教会で「洗礼者聖ヨハネの誕生」を祝う日です。
ふつう聖人の祝日は、その聖人が天に帰った日を記念します。
それなのに、なぜ洗礼者聖ヨハネは「誕生」が祝われるのでしょうか。
それは、ヨハネがイエスの到来に先立って遣わされた、きわめて特別な預言者だからです。
Contents
洗礼者聖ヨハネ|プロフィール
- 名前
洗礼者聖ヨハネ/John the Baptist - 生没年
1世紀 - 出身地・時代背景
ユダヤの祭司ザカリアとエリザベトの子として生まれました。ローマ支配下のユダヤで、メシア待望が強く意識されていた時代に生きました。 - 肩書き・役職
預言者、先駆者、洗礼者。イエスに先立って道を備えた人物です。
なぜ「聖人の日」ではなく「誕生」を祝うのか

カトリック教会では、ふつう聖人の記念日は、その人の帰天日です。
それは、帰天の日が「天に生まれた日」、つまり神のもとに入った完成の日と考えられているからです。
ところが、洗礼者聖ヨハネについては、教会は特別に誕生の日を祝います。
この点でヨハネは、イエス、聖母マリアと並ぶ特別な存在として扱われています。
その理由は、ヨハネが生まれる前から、すでにメシアの到来を告げる使命の中に置かれていたからです。
ルカ福音書では、天使ガブリエルがマリアに受胎告知をした時、エリザベトがすでに六か月身ごもっていると告げられます。
そのため、教会は3月25日の受胎告知から三か月後、そしてクリスマスのちょうど六か月前にあたる6月24日に、洗礼者ヨハネの誕生を置いてきました。
つまり、この祝日は、ただ誕生日を祝うのではなく、キリストに先立つ者の誕生を祝っているのです。
ヨハネの存在そのものが、すでにイエスを指し示すしるしだったため、教会は彼の死だけでなく、その誕生そのものにも特別な意味を見ています。
洗礼者聖ヨハネの誕生
ヨハネの父は祭司ザカリア、母はエリザベトでした。
二人は長いあいだ子どもに恵まれませんでしたが、天使のお告げによって男の子が与えられることが告げられます。
年老いていたエリザベトはみごもり、男の子を産み、その子はヨハネと名付けられました。
この誕生そのものが、神の特別な働きとして受け止められました。
だからこそ、教会は彼の「誕生」を祝うのです。
荒野で人びとに悔い改めを告げる
ヨハネは成長すると、らくだの毛衣をまとい、腰に皮帯を締め、荒野で生活しました。
いなごと野蜜を食べながら、人びとに悔い改めを呼びかけます。
彼の使命は、自分が中心になることではありませんでした。
来るべき方、すなわちイエスを迎えるために、人びとの心を整えることでした。
そのため、多くの人が罪を告白し、ヨルダン川でヨハネから洗礼を受けました。
イエスに洗礼を授けた先駆者

ヨハネの生涯で最も大きな出来事の一つは、イエスに洗礼を授けたことです。
イエスご自身もヨルダン川に来られ、ヨハネから洗礼を受けられました。
この場面によって、ヨハネの使命ははっきりします。
彼は、自分のもとに人を集めるためではなく、イエスを世に示すために遣わされていたのです。
イエスもまた、ヨハネについて、
「女から生まれた者のうち、洗礼者ヨハネより偉大な者は現れなかった」
と語っています(マタイ11:11、ルカ7:28参照)。
ヘロデ王をいさめ、殉教する
ヨハネは、ただ人びとに悔い改めを説くだけではありませんでした。
権力者の罪に対しても沈黙しませんでした。
ヘロデ王の悪い行いを戒めたことによって、捕えられ、後に処刑されます。
こうしてヨハネは、誕生が祝われるだけでなく、殉教者としても教会に記憶されるようになりました。
教会は6月24日にその誕生を、8月29日にその受難と殉教を記念します。
洗礼者聖ヨハネの名言・エピソードから学ぶ
洗礼者聖ヨハネを最もよく表す言葉は、
「あの方は栄え、わたしは衰えねばならない」
です(ヨハネ3:30参照)。
彼は、自分を大きくするために生きたのではなく、イエスを指し示すために生きました。
この姿こそ、洗礼者ヨハネの生涯全体を貫く中心です。
カトリック的ポイント解説
洗礼者聖ヨハネの生涯で大切なのは、先駆者としての使命です。
カトリック信仰では、ヨハネは旧約の預言者たちの流れを受け継ぎながら、新約の入口に立つ人と考えられています。
だから彼は、ただ一人の聖人として敬われるだけでなく、キリストの到来を準備した人物として特別に祝われます。
誕生そのものが祝われるのは、彼の人生が最初からキリストを指し示す使命の中に置かれていたからです。
洗礼者聖ヨハネ|ゆかりの地・書籍・芸術
洗礼者聖ヨハネのゆかりの地として大切なのは、ユダヤの荒野、ヨルダン川、そしてエルサレム周辺です。
芸術では、らくだの毛衣、細い十字架の杖、巻物、子羊とともに描かれることが多くあります。
また、幼いイエスに先立つ子どもとして描かれる場合もあります。
まとめ|今日の聖人から学べること
6月24日に祝うのは、洗礼者聖ヨハネの「聖人の日」ではなく、その「誕生」です。
それは、ヨハネが生まれる前からキリストの到来を告げる使命の中に置かれていた、特別な先駆者だからです。
洗礼者聖ヨハネは、自分ではなくイエスを指し示すために生きる信仰を教えてくれます。
![今日の聖人は聖エテルドレダ|聖オードレーとして親しまれる、のどの病の守護聖人[6月23日]](https://art-bible.net/wp/wp-content/uploads/2026/06/june-23-300x200.jpg)
![今日の聖人は聖プロスペロ(レッジョ)司教|全財産を貧しい人に与え、城壁外の目立たない場所への埋葬を望んだ司教[6月25日]](https://art-bible.net/wp/wp-content/uploads/2026/06/june-25-300x200.jpg)