1月4日は、カトリック教会で「聖エリザベス・アン・シートン」を記念する日です。
彼女は、アメリカで初めて正式に認められた女子修道会「聖ヨセフ愛徳修道女会」を率いた初代総長であり、教育と福祉の分野で大きな役割を果たしました。
一人の母として家庭を支えながら、信仰に導かれて社会に仕えていったその歩みは、アメリカ教会の原点とも言えるものです。
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エリザベスは1774年、ニューヨーク市でプロテスタントの医師の家庭に生まれました。幼いころから聖書に親しみ、信仰心と学ぶ姿勢を大切にして育ちます。
19歳で結婚し、5人の子どもに恵まれ、母として忙しい日々を送りました。父の影響もあり、病人や貧しい人への思いやりを自然に身につけていったと伝えられています。
1797年、エリザベスは貧しい寡婦を助けるための会を立ち上げ、本格的に慈善活動を始めました。しかし1803年、夫を病で失うという大きな悲しみを経験します。
生活は苦しくなりましたが、その中で彼女を支えたのが、出会ったカトリックの人々の信仰と助けでした。深い祈りと学びを経て、1805年、エリザベスはカトリック教会に入信します。
改宗後、周囲の理解を得られず困難に直面しますが、司祭の招きでボールティモアへ移り、学校の運営に関わるようになります。これは、アメリカにおけるカトリック組織による学校教育の始まりとされています。
1809年には聖ヨセフ修道女会を設立し、後にメリーランド州エミツバーグで貧しい子どもたちのための学校を開きました。
1812年、この共同体は正式に「聖ヨセフ愛徳修道女会」として認められ、アメリカ人による最初のカトリック女子修道会となりました。
エリザベスは初代総長として修道会を導き、教育と医療を中心に活動を広げました。体調を崩しながらも、祈りと奉仕の姿勢を失うことはありませんでした。
1820年に46歳で帰天しましたが、その精神は修道会を通して今も生き続けています。1975年、アメリカ人として初めて聖人に列せられました。
「神は、私たちを今いる場所で聖なる者にしようとしておられます。」
この言葉は、彼女の書簡に見られる考えを要約したものです。
特別な場所や立場でなくても、日々の生活の中で神に信頼し、愛を実践することが大切だという思いが表れています。母として、教育者としての現実の中で生きた彼女らしい言葉です。
エリザベスが大切にしたテーマの一つは、神への信頼です。苦しみの中でも神は共におられるという確信が、彼女を前に進ませました。
また、愛徳、つまり行動としての愛を重視し、祈りと実践を結びつけました。現代の信仰生活においても、家庭や仕事の場で小さな善を積み重ねる姿勢として受け継がれています。
彼女とゆかりの深い場所として、メリーランド州エミツバーグがあります。ここには、彼女が設立した修道会と記念施設があり、巡礼地として多くの人が訪れます。
また、彼女の生涯を紹介する伝記書が英語を中心に出版され、教育と信仰の歴史を学ぶ資料となっています。
聖エリザベス・アン・シートンは、家庭の苦しみや社会的な困難の中でも、信仰と愛を失わずに歩み続けた女性でした。
彼女は特別な力を持った人ではなく、一人の母として、教育者として、できることを誠実に続けました。その姿は、現代を生きる私たちにも、今いる場所で善を行う大切さを教えてくれます。
小さな行動が社会を変える力になることを、彼女の生涯は静かに語っています。