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ヨセフ、正体を明かすドレ〈ヨセフ、兄弟に正体を明かす〉

〈創世記 第42章-2〉

3日目にヨセフは彼らに言った、
「もしあなたがたが真実な者なら、兄弟のひとりをあなたがたのいる監禁所に残し、あなたがたは穀物を携えて行って、家族の飢えを救いなさい。そして末の弟をわたしのもとに連れてきなさい」

そのひとりシメオンを捕えて、彼らの目の前で縛った。そしてヨセフは人々に命じて、彼らの袋に穀物を満たし、めいめいの銀を袋に返し、道中の食料を与えさせた。

彼らは穀物をろばに負わせてそこを去った。そのひとりが宿で、ろばに飼葉をやるため袋をあけて見ると、袋の口に自分の銀があった。
「わたしの銀は返してある。しかも見よ、それは袋の中にある」

そこで彼らは非常に驚き、互に震えながら言った、
「神がわれわれにされたこのことは何事だろう」

こうして彼らはカナンの地にいる父ヤコブのもとに帰り、その身に起った事をことごとく告げた。

父ヤコブは彼らに言った、
「あなたがたはわたしに子を失わせた。ヨセフはいなくなり、シメオンもいなくなった。今度はベニヤミンをも取り去る」
ききんはその地に激しかった。

父イスラエルは彼らに言った、
「この国の名産を器に入れ、携え下ってその人に贈り物にしなさい。その上に、倍額の銀を手に持って行きなさい。弟も連れ、またその人の所へ行きなさい」

そこでその人々は贈り物を取り、また倍額の銀を携え、ベニヤミンを連れ立ってエジプトへ下り、ヨセフの前に立った。

ヨセフは家づかさに命じて言った、
「この人々の袋に、運べるだけ多くの食糧を満たし、めいめいの銀を袋の口に入れておきなさい。またわたしの杯、銀の杯をあの年下の者の袋の口に、穀物の代金と共に入れておきなさい」

夜が明けると、その人々と、ろばとは送り出されたが、町を出て、まだ遠くへ行かないうちに、ヨセフは家づかさに言った、
「立って、あの人々のあとを追いなさい。追いついて、彼らに言いなさい、『あなたがたはなぜ悪をもって善に報いるのですか。なぜわたしの銀の杯を盗んだのですか』」

家づかさが彼らに追いついて、これらの言葉を彼らに告げたとき、彼らは言った、
「わが主は、どうしてそのようなことを言われるのですか。しもべらは決してそのようなことはいたしません。袋の口で見つけた銀でさえ、カナンの地からあなたの所に持ち帰ったほどです。どうして、われわれは御主人の家から銀や金を盗みましょう」

家づかさは言った、
「それではあなたがたの言葉のようにしよう。杯の見つかった者はわたしの奴隷とならなければならない。ほかの者は無罪です」

杯はベニヤミンの袋の中にあった。そこで彼らは衣服を裂き、おのおの、ろばに荷を負わせて町に引き返した。ユダと兄弟たちとは、ヨセフの家にはいったが、ヨセフがなおそこにいたので、彼らはその前で地にひれ伏した。

そこでヨセフはそばに立っているすべての人の前で、自分を制しきれなくなったので、
「人は皆ここから出てください」と呼ばわった。それゆえヨセフが兄弟たちに自分のことを明かした時、ひとりも彼のそばに立っている者はなかった。ヨセフは声をあげて泣いた。エジプトびとはこれを聞き、パロの家もこれを聞いた

ヨセフは兄弟たちに言った、
「わたしはヨセフです。父はまだ生きながらえていますか」

兄弟たちは答えることができなかった。彼らは驚き恐れたからである。