自分たちの中で最強を誇ったルシファーが、こんな風にしてミカエルに敗北を喫したのを見、敵の戦列は動揺していました。そして、恥も外聞も捨てて逃げ出し、悲惨な大混乱が生じていました。
失楽園〈堕天編〉
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初日の敗北は明らかですが、ルシファーが屈することはありません。また、得意な詭弁ともいうべきその語りで、仲間をいい含めます。しかし、それは、ルシファー自身、己を鼓舞しているです。
ルシファー、初日の敗北の理由は全能の神側の武器の優秀さにあると訴えられます。しかし、ルシファーの頭の中には、すでに新兵器の構想がありました。ルシファーの部下は、それを聞くと元気を取り戻します。
ルシファーの軍勢は一夜にして、悪魔の新兵器を造り上げました。ルシファーは、新兵器を立方形の隊形の中に隠しました。さらに、敵の軍団からは新兵器が見えないように上にも密集部隊で覆っていたのです。
ルシファーの新兵器が火を吹くと、全天は焔に包まれ、吐き出された濠々たる煙で、真暗になってしまいました。全能の神の軍団は、ただもう幾千、幾万となく倒れ伏すだけです。
ルシファーの武器に壊滅状態の神の軍団も、反撃に出ます。互いに山そのものを投げつけるその有りさまはまるで地獄絵図。このままでは、天そのものが荒廃してしまいます。しかし、今までのことすべてが、全能の神の深慮によるものでした。
アルマゲドン2日目にして混沌を極め、今や天国は荒れ放題。しかし、これこそが全能の神の意図でした。この状態を救う役割を独り子に与えるためだったのです。そして3日目の朝、独り子は全能の神の武器を身につけ出陣します。
神の独り子は、幾千、幾万の聖徒の大軍にまもられて、前へ、前へと燦然と輝きながら出撃して行きました。また、左右に半々に分かれた二万に及ぶ神の戦車が進撃してゆきます。
ルシファーの軍勢はことごとく萎えはて、血気もかれはて、ただもう疲労し、困憊し、勇気も意気もなく、たおれ伏すのみ。しかし、独り子の方はまだその力の半分も出していないのです。
ルシファーの軍勢は慄然としてたじろぎ、一時止まりましたが、後からはさらに恐ろしい独り子が迫ってきます。やむなく、天の端の一角から身を躍らして下方へ飛びおりざるをえません、地獄へと。
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