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聖ステファノドメニコ・ギルランダイオ〈聖ステファノ〉

(使徒行伝 第6章)

そのころ、弟子の数がふえてくるにつれて、ギリシヤ語を使うユダヤ人たちから、ヘブル語を使うユダヤ人たちに対して、自分たちのやもめらが、日々の配給で、おろそかにされがちだと、苦情を申し立てた。

そこで、十二使徒は弟子全体を呼び集めて言った、
「わたしたちが神の言をさしおいて、食卓のことに携わるのはおもしろくない。そこで、兄弟たちよ、あなたがたの中から、御霊と知恵とに満ちた、評判のよい人たち七人を捜し出してほしい。その人たちにこの仕事をまかせ、わたしたちは、もっぱら祈と御言のご用に当ることにしよう」

この提案は会衆一同の賛成するところとなった。そして信仰と聖霊とに満ちた人ステファノ、それからピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、およびアンテオケの改宗者ニコラオを選び出して、使徒たちの前に立たせた。すると、使徒たちは祈って手を彼らの上においた。

こうして神の言は、ますますひろまり、エルサレムにおける弟子の数が、非常にふえていき、祭司たちも多数、信仰を受けいれるようになった。

ステファノは恵みと力とに満ちて、民衆の中で、めざましい奇跡としるしとを行っていた。すると、いわゆる「リベルテン」の会堂に属する人々、クレネ人、アレキサンドリヤ人、キリキヤやアジヤからきた人々などが立って、ステファノと議論したが、彼は知恵と御霊とで語っていたので、それに対抗できなかった。

そこで、彼らは人々をそそのかして、
「わたしたちは、彼がモーセと神とを汚す言葉を吐くのを聞いた」と言わせた。
その上、民衆や長老たちや律法学者たちを煽動し、彼を襲って捕えさせ、議会にひっぱってこさせた。

それから、偽りの証人たちを立てて言わせた、
「この人は、この聖所と律法とに逆らう言葉を吐いて、どうしても、やめようとはしません。『あのナザレ人イエスは、この聖所を打ちこわし、モーセがわたしたちに伝えた慣例を変えてしまうだろう』などと、彼が言うのを、わたしたちは聞きました」

議会で席についていた人たちは皆、ステファノに目を注いだが、彼の顔はちょうど天使の顔のように見えた。

聖ステファノのへの投石〈聖ステファノのへの投石〉ケルン大聖堂

(使徒行伝 第7章)

大祭司は「そのとおりか」と尋ねた。

(アブラハムやモーセの故事を語り)ステファノが言った、
「ああ、強情で、心にも耳にも割礼のない人たちよ。あなたがたは、いつも聖霊に逆らっている。それは、あなたがたの先祖たちと同じである。

いったい、あなたがたの先祖が迫害しなかった預言者が、ひとりでもいたか。彼らは正しいかたの来ることを予告した人たちを殺し、今やあなたがたは、その正しいかたを裏切る者、また殺す者となった。あなたがたは、御使たちによって伝えられた律法を受けたのに、それを守ることをしなかった」

人々はこれを聞いて、心の底から激しく怒り、ステファノにむかって、歯ぎしりをした。しかし、彼は聖霊に満たされて、天を見つめていると、神の栄光が現れ、イエスが神の右に立っておられるのが見えた。

そこで、彼は
「ああ、天が開けて、人の子が神の右に立っておいでになるのが見える」と言った。
人々は大声で叫びながら、耳をおおい、ステファノを目がけて、いっせいに殺到し、彼を市外に引き出して、石で打った。

これに立ち合った人たちは、自分の上着を脱いで、サウロという若者の足もとに置いた。こうして、彼らがステファノに石を投げつけている間、ステファノは祈りつづけて言った、
「主イエスよ、わたしの霊をお受け下さい」

そして、ひざまずいて、大声で叫んだ、
「主よ、どうぞ、この罪を彼らに負わせないで下さい」

こう言って、彼は眠りについた。