イサクの犠牲
パオロ・ヴェロネーゼ〈イサクの犠牲〉
創世記 第22章
神はアブラハムを試みて彼に言われた、「アブラハムよ」
彼は言った、「ここにおります」
神は言われた、
「あなたの子、あなたの愛するひとり子イサクを連れてモリヤの地に行き、わたしが示す山で彼を燔祭としてささげなさい」
アブラハムは朝はやく起きて、ろばにくらを置き、ふたりの若者と、その子イサクとを連れ、また燔祭のたきぎを割り、立って神が示された所に出かけた。三日目に、アブラハムは目をあげて、はるかにその場所を見た。
そこでアブラハムは若者たちに言った、
「あなたがたは、ろばと一緒にここにいなさい。わたしとわらべは向こうへ行って礼拝し、そののち、あなたがたの所に帰ってきます」
アブラハムは燔祭のたきぎを取って、その子イサクに負わせ、手に火と刃物とを執って、ふたり一緒に行った。
やがてイサクは父アブラハムに言った、「父よ」
彼は答えた、「子よ、わたしはここにいます」
イサクは言った、「火とたきぎとはありますが、燔祭の小羊はどこにありますか」
アブラハムは言った、「子よ、神みずから燔祭の小羊を備えてくださるであろう」
こうしてふたりは一緒に行った。
ティエポロ〈イサクの犠牲〉
彼らが神の示された場所にきたとき、アブラハムはそこに祭壇を築き、たきぎを並べ、その子イサクを縛って祭壇のたきぎの上に載せた。 そしてアブラハムが手を差し伸べ、刃物を執ってその子を殺そうとした時、主の使が天から彼を呼んで言った、
「アブラハムよ、アブラハムよ」
彼は答えた、「はい、ここにおります」
み使が言った、「わらべを手にかけてはならない。また何も彼にしてはならない。あなたの子、あなたのひとり子をさえ、わたしのために惜しまないので、あなたが神を恐れる者であることをわたしは今知った」
この時アブラハムが目をあげて見ると、うしろに、角をやぶに掛けている一頭の雄羊がいた。アブラハムは行ってその雄羊を捕え、それをその子のかわりに燔祭としてささげた。それでアブラハムはその所の名をアドナイ・エレと呼んだ。これにより、人々は今日もなお「主の山に備えあり」と言う。
主の使は再び天からアブラハムを呼んで言った、
「主は言われた、『わたしは自分をさして誓う。あなたがこの事をし、あなたの子、あなたのひとり子をも惜しまなかったので、わたしは大いにあなたを祝福し、大いにあなたの子孫をふやして、天の星のように、浜べの砂のようにする。あなたの子孫は敵の門を打ち取り、また地のもろもろの国民はあなたの子孫によって祝福を得るであろう。あなたがわたしの言葉に従ったからである』」
アブラハムは若者たちの所に帰り、みな立って、共にベエルシバへ行った。そしてアブラハムはベエルシバに住んだ。
- 光あれ
- アダムの創造
- エバの創造
- 原罪:へびの誘惑
- エデンの園追放
- カインとアベル
- アダムの系譜とノア
- ノアの箱舟と?
- 大洪水
- ノアの箱舟とハト
- ノアの燔祭(はんさい)
- ノアの泥酔
- バベルの塔
- アブラム、カナン、エジプトへ
- アブラムとロト
- サライとハガルとイシマエル
- 名はアブラハムに。契約と割礼
- 主と三人の使い
- ロトへの訪問
- ソドムとゴモラ
- ロトと近親相姦
- サラは、わたしの妹
- ハガルの追放
- ベエルシバ荒野のハガル
- イサクの犠牲
- サラの死と埋葬
- イサクの妻リベカ
- アブラハムの死
- ヤコブとエサウ
- イサクの妻リベカ2
- イサクの井戸
- イサクとアビメレク
- ヤコブの祝福
- ヤコブのはしご
- ヤコブ、レアとラケルに出会う
- ヤコブ 天使と戦う
- エサウとの再会
- シメオンによる虐殺
- ヨセフ売られる
- ヨセフの上着
- ポテパルの妻
- ヨセフの夢占い1
- ヨセフの夢占い2
- ヨセフと異母兄弟
- ヨセフ正体を明かす
- ヨセフとヤコブ