聖クリストフォロスと川を渡りたい男の子
ハンス・メムリンク〈聖クリストフォロス〉
ローマ人レプロブス
聖クリストフォロスは、もともとレプロブスという名前のローマ人でした。
キリスト教に改宗し、イエス・キリストに仕えることを決意すると、隠者を訪れ尋ねました。
「イエス・キリスト様に仕えたいのですが」
「人々に奉仕することがその道です」
隠者は急な川を指さして、渡る人々を助けることを提案しました。レプロブスはこれを聞き入れ、ただで人々を渡すようになりました。
ある日、小さな男の子が、レプロブスにお願いしました。
「おじさん、川を渡りたいのですが」
「お安い御用だ、坊っちゃん」
いつものように、レプロブスは答え、男の子を背負いました。
「???」
しばらく川を渡るうちに、男の子は異様な重さになり、レプロブスはくずれ落ちそうになりました。とうとう、背負いきれなくなって、男の子に問いました。
「あなたは、何者なのですか? そんな小さな体なのに、どうしてそんなに重いのですか?」
「レプロブスよ、わたしはイエス・キリストです」
イエスは全世界の人々の罪を背負っているため、重かったのです。
なんとか、イエスを背負ったまま川を渡りきったレプロブス。
「これからは、クリストフォロス(キリストを背負ったもの)と名乗りなさい」
イエスは、レプロブスを祝福しました。
聖クリストフォロスの殉教
イエスは、レプロブスが持っていた杖を地面に突き刺すよう命じました。彼がそうすると、杖から枝と葉が生えだし、みるみる巨木となりました。
後でこの木を見た多くの人々はその大きさに驚き、キリスト教に改宗しました。この話は、皇帝デキウスの耳にも入り、クリストフォロスは捕らえられてしまいました。彼は拷問を受けたあと、斬首されたと言います。3世紀のローマ時代のことでした。
〈クリストフォロス(キリストを背負ったもの)別説〉
もっとも偉大な主は?
ゴルムにとって「父はもっとも偉大な主」でした。ある日、彼は父が王に税を払っていることを知り、父より偉い「王こそ、もっとも偉大な主」と思い、王に仕えることにしました。しかし、面会かなった王は「自分にとっては、悪魔がいちばん恐ろしい」と言ったので、今度は悪魔に仕えようとしました。
やがて、悪魔がゴルムの前に現れ、町を破壊するよう命じました。
「悪魔こそ、もっとも偉大な主だ」とゴルムは命令を聞いていました。
しばらくすると、悪魔は言いました。
「教会だけは壊してはいけない。なぜならそこは『王の中の王』が住む場所だからだ」
これを聞いたゴルムは悪魔と別れ、「王の中の王」を探しにでました。
王の中の王
ある川にくると、彼は「もうすぐ王の中の王がこの川を渡るだろう」と聞きました。ゴルムは川辺に住み、ただで人々が川を渡るのを手伝いながら「王の中の王」を待ちました。
数十年たった冬の日、
小さな男の子が川を渡りたいと現れました。ゴルムは年老いていましたが、快く男の子を渡してあげたのです。
すると、男の子はイエス・キリストに姿を変えたのです。
「とうとう会うことができました」
感激したゴルムは、目に涙を浮かべ言いました。
そんな彼にイエスはこう言いました。
「今まで、あなたが川を渡した人々すべてが、私イエス・キリストである。これより、『クリストフォロス(キリストを背負ったもの』と名乗りなさい」
※川を渡るという過程は、救済に至る魂の道を表しています。
ボス〈聖クリストフォロス〉
- 天使の9階級
- 大天使ガブリエル「受胎告知」する
- 大天使ミカエルは、天使間戦争を戦う
- ルシファー、堕天してサタンになる!
- 大天使ラファエル、トビアスの案内人となる。
- 大天使ウリエルが、サタンを憎む理由。
- 聖カタリナとヒュパティア
- 聖ロンギヌスの槍
- 聖セシリアの殉教
- 聖セバスティアヌスの殉教
- 最初の殉教者 聖ステファノ
- アッシジの聖フランチェスコ1
- アッシジの聖フランチェスコ2
- アッシジの聖フランチェスコ3
- アッシジの聖フランチェスコ4
- 聖ユスティナの殉教
- シラクサの聖ルチア
- シチリアの聖アガタ
- 聖アポロニアと抜歯
- 12使徒
- 12使徒 聖ペテロ
- 12使徒 聖マタイ
- 12使徒 大ヤコブと聖ヨハネ
- 聖クリストフォロスと川を渡りたい男の子
- 13歳で殉教した聖アグネス
- 【四大ラテン教父】聖アウグスティヌス、最も偉大な神学者
- 【四大ラテン教父】聖グレゴリウス1世と聖歌
- 【四大ラテン教父】聖アンブロジウス「走れベッタ!」
- 聖ラウレンティウスの殉教
- 12使徒 ユダ
- 聖アントニウスの誘惑 その1
- 聖アントニウスの誘惑 その2
- 【四大ラテン教父】聖ヒエロニムスとライオン
- 聖ヴェロニカと聖顔布(聖骸布)
- 聖ゲオルギオスと竜退治