アートバイブル1話5分で読める聖書

旧約聖書・新約聖書はとても読みづらいです。
この絵画で分かりやすい聖書は、
ギリシャ神話〉と同じく映画・美術鑑賞に
とても役に立つ聖書・アートバイブルです。
失楽園

ルシファー、今や地獄に落ちたサタンの野望?

天使間アルマゲドンは、3日間で決着がつきました。ルシファーが堕天使になったのは、初めから御子イエスを救世主にするという父なる神の意志だったのです。
さらに、神の意志はアダムとイブの原罪とエデンの園からの追放、イエスの磔刑、最後の審判へと続いていくのです。これがキリスト教です。
堕天使に惹かれる人間の性(さが)がわかるような気がしませんか?
「サタン、我は、いかにしてイブを誘惑したか!」をまとめてみたいと思っています。もちろん、ミルトン『失楽園』からです。

ギュスターブ・ドレ「ミルトン失楽園」
ギュスターブ・ドレ〈ミルトン失楽園〉

ルシファーの軍勢、水晶の城壁から地獄へ

御子は雷霆に撃たれて呆然としているシファーの軍勢を追いたててゆき、憤怒の形相もものすごく、ついに天の境にある、水晶の城壁まで駆りたててゆきました。すると、水晶の城壁は大きく内側に開きました。見ると、はるか下方に荒涼たる深淵がロをあけています。

シファーの軍勢は慄然としてたじろぎ、一時止まりましたが、後からはさらに恐ろしい御子が迫ってきます。ついにやむなく、天の端の一角から身を躍らして下方へ飛びおりざるをえません。永遠の怒りが炎となって彼らをとりまき、底知れぬ奈落まで落ちてゆきます。

実に、九日の間、ルシファーたちは墜ち続けました。

『地獄』は口を開き、彼ら全員を呑み込むと、ただちに口を閉じました。消えることのない業火に包まれた地獄こそ、ルシファーたちにはふさわしい住処であり、悲哀と苦痛の家です。

叛逆者がいなくなり、天は歓喜しました。城壁は直ちにふさがりました。勝利を収めた御子は、凱旋の戦車に乗って引返してきました。彼の救世主としての偉業を息をひそめて見ていた天使たちは、全員、どっと歓声をあげて迎えました。どの階級の天使といわず皆大きな株欄の枝をかざして進みながら、凱歌を唱し、御子に向かい、ほめ讃えたのです。

「勝利者なる王よ、御独り子よ、世嗣よ、
われらが主よ、主権を与えられし者よ、
支配者たるにふさわしき者よ」

地獄に落ちるルシファーたち
ギュスターブ・ドレ〈堕天使〉

エピローグ。ラファエルはアダムを諭します。

「御子は歓呼の声に迎えられ、凱旋の姿も凛々しく、天の真只中を戦車に乗ったまま駈け抜け、いと高き王座に坐しておられた力強き父なる神の宮居と神殿へ、と帰還された。そして、神によって栄光の座に招じ入れられたもうたが、今もなお、神の右手に当たる祝福の座についておられるのだ。

本来なら人間には秘しておいて、話すべきではなかったかもしれない。わたしは、天に生じた不和、天使たちの間に起った天上の戦いアルマゲドン、余りにも高い野心を抱いてルシファーと共に叛逆し、最後に地獄に墜ちた者たちのことを話した。わたしは、過去の出来事を知ることによって今後の戒めとしてもらいたい、と思ったからに他ならない。

そのルシファー、つまり今や地獄に落ちたサタンが、実は、今お前(アダム)の幸福な境涯を妬み、何とかしてお前をも誘惑し、神から引き離し、神に服従するのをやめさせようとしている。というのも、幸福を失わさせることによって、お前にも自分と同じ刑罰を、永遠の悲哀を、味わせてやろうという魂胆なのだ。

そうやって、もしひとたびお前を自分の苦悩の道連れにすることができれば、それこそいと高き神に対する侮蔑となり、彼にとってはこんな慰めは、そして快い復讐は、他にはない。どんなことがあっても彼の誘惑に耳を傾けてはならない。

弱いイヴをも戒めておくがよい。叛逆の報いがどんなものか、恐ろしい実例を通じてお前は知ったはずだ。それを無駄にしてはならない。彼らは、堕落するはずではなかったにもかかわらず、遂に堕落した。そのことを忘れずに、罪を犯さないよう、気をつけてもらいたい」

ラファエルはこう諭すと、天に帰って行きました。
そして、サタンの野望は、エデンの園でのイブの誘惑へと進んでいきます。

天使間アルマゲドン(終)

エデンの園を見下ろすサタン
ギュスターブ・ドレ〈エデンの園を見下ろすサタン〉

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