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モーセの発見プッサン〈モーセの発見〉

〈出エジプト記〉

ヨセフのことを知らない新しい王が、エジプトに起った。彼はその民に言った、
「見よ、イスラエルびとなるこの民は、われわれにとって、あまりにも多く、また強すぎる。さあ、われわれは、抜かりなく彼らを取り扱おう。彼らが多くなり、戦いの起るとき、敵に味方して、われわれと戦い、ついにこの国から逃げ去ることのないようにしよう」

そこでエジプトびとは彼らの上に監督をおき、重い労役をもって彼らを苦しめた。そこでパロはそのすべての民に命じて言った、「ヘブルびとに男の子が生れたならば、みなナイル川に投げこめ。しかし女の子はみな生かしておけ」

さて、レビの家のひとりの人が行ってレビの娘をめとった。女はみごもって、男の子を産んだが、その麗しいのを見て、三月のあいだ隠していた。

しかし、もう隠しきれなくなったので、パピルスで編んだかごを取り、それにアスファルトと樹脂とを塗って、子をその中に入れ、これをナイル川の岸の葦の中においた。

ときにパロの娘が身を洗おうと、川に降りてきた。侍女たちは川べを歩いていたが、彼女は、葦の中にかごのあるのを見て、つかえめをやり、それを取ってこさせ、あけて見ると子供がいた。

見よ、幼な子は泣いていた。彼女はかわいそうに思って言った、
「これはヘブルびとの子供です」

そのとき幼な子の姉はパロの娘に言った、
「わたしが行ってヘブルの女のうちから、あなたのために、この子に乳を飲ませるうばを呼んでまいりましょうか」

パロの娘が「行ってきてください」と言うと、少女は行ってその子の母を呼んできた。

パロの娘は彼女に言った、
「この子を連れて行って、わたしに代り、乳を飲ませてください。わたしはその報酬をさしあげます」

女はその子を引き取って、これに乳を与えた。その子が成長したので、彼女はこれをパロの娘のところに連れて行った。

そして彼はその子となった。彼女はその名をモーセと名づけて言った、
「水の中からわたしが引き出したからです」

川から救われるモーセジェンティレスキ〈川から救われるモーセ〉