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湖上を歩く聖ペテロブーシェ〈湖上を歩く聖ペテロ〉

それからすぐ、イエスは群衆を解散させておられる間に、しいて弟子たちを舟に乗り込ませ、向こう岸へ先におやりになった。 そして群衆を解散させてから、祈るためひそかに山へ登られた。夕方になっても、ただひとりそこにおられた。

ところが舟は、もうすでに陸から数丁も離れており、逆風が吹いていたために、波に悩まされていた。

イエスは夜明けの四時ごろ、海の上を歩いて彼らの方へ行かれた。弟子たちは、イエスが海の上を歩いておられるのを見て、幽霊だと言っておじ惑い、恐怖のあまり叫び声をあげた。

しかし、イエスはすぐに彼らに声をかけて、
「しっかりするのだ、わたしである。恐れることはない」と言われた。

するとペテロが答えて言った、
「主よ、あなたでしたか。では、わたしに命じて、水の上を渡ってみもとに行かせてください」

イエスは、「おいでなさい」と言われたので、ペテロは舟からおり、水の上を歩いてイエスのところへ行った。

しかし、風を見て恐ろしくなり、そしておぼれかけたので、彼は叫んで、「主よ、お助けください」と言った。

イエスはすぐに手を伸ばし、彼をつかまえて言われた、
「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」

ふたりが舟に乗り込むと、風はやんでしまった。舟の中にいた者たちはイエスを拝して、「ほんとうに、あなたは神の子です」と言った。

(マタイによる福音書)