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らくだと針の穴〈らくだと針の穴〉出典

ひとりの人がイエスに近寄ってきて言った、
「先生、永遠の生命を得るためには、どんなよいことをしたらいいでしょうか」

イエスは言われた、
「なぜよい事についてわたしに尋ねるのか。よいかたはただひとりだけである。もし命に入りたいと思うなら、いましめを守りなさい」

彼は言った、「どのいましめですか」

イエスは言われた、
「『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証を立てるな。父と母とを敬え』。また『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』」

この青年はイエスに言った、
「それはみな守ってきました。ほかに何が足りないのでしょう」

イエスは彼に言われた、
「もしあなたが完全になりたいと思うなら、帰ってあなたの持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう。そして、わたしに従ってきなさい」

この言葉を聞いて、青年は悲しみながら立ち去った。たくさんの資産を持っていたからである。

それからイエスは弟子たちに言われた、
「よく聞きなさい。富んでいる者が天国にはいるのは、むずかしいものである。また、あなたがたに言うが、富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」

弟子たちはこれを聞いて非常に驚いて言った、
「では、だれが救われることができるのだろう」

イエスは彼らを見つめて言われた、
「人にはそれはできないが、神にはなんでもできない事はない」

そのとき、ペテロがイエスに答えて言った、
「ごらんなさい、わたしたちはいっさいを捨てて、あなたに従いました。ついては、何がいただけるでしょうか」

イエスは彼らに言われた、
「よく聞いておくがよい。世が改まって、人の子がその栄光の座につく時には、わたしに従ってきたあなたがたもまた、十二の位に座してイスラエルの十二の部族をさばくであろう。

おおよそ、わたしの名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、子、もしくは畑を捨てた者は、その幾倍もを受け、また永遠の生命を受けつぐであろう。しかし、多くの先の者はあとになり、あとの者は先になるであろう」

(マタイによる福音書)